<このページについての説明>
ビートたけしさんの歌が大好きな皆様、ども! たけちゃんの唄を味わおう会の会長・どちゃん! で御座います。
とぉんとご無沙汰しておりますが、元気に過ごしております。

さてさて。昨今、世の中の目まぐるしい変化に、ついて行けない状態の中、
ネット上のホームページも次々と閉鎖、提供終了などが相次ぎ、非常に寂しい状態となっておりますが、
このページに記載されている、歴史上、重要なものも、ネット上から消えそうになっておりましたので、
どちゃん!の勝手な判断で、このように、新たな URL に移行して、勝手にネット上に残してみました。

このページは、ビートたけしファンが集った「たけしチルドレンズ・横丁」というホームページから、
たけしさんの音楽活動を熱く語っていた「ビートたけしの音楽活動について」という内容のものです。

長年、ジオシティーズというホームページレンタルサイトにて、公開されていたページで御座いますが、
ご存じの方も居られますように、ジオシティーズが、2019年3月31日をもって、終了してしまいました。
もちろん、私もジオシティーズでホームページを公開しておりましたが、移行し、今に至ります。
ところが、このページが移行する様子が全く観られませんでしたので、こっそりと勝手に、内容をそのまま、
うちのサーバーへ移行しておきました。
横丁の管理人であった佐藤様、ねこさま。もし、このページをご覧になって、不都合が御座いましたら、削除致しますので、
その際は、ツイッターを通してでも構いませんので、ご連絡ください。

それでは、内容をそのまま移動した、懐かしい文章、そして、素敵な内容をご堪能くださいませ。
勝手に移行しちゃった、どちゃん!より(2019.4.1)
追記:どこかでリンクされたみたいで、思うことあって、URL(ファイル名)変更しました。(2020.11.2)


↓ここからですよぉ〜!



ビートたけしの音楽活動について
解説:佐藤公哉

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 ここでは、ビートたけしさんの音楽活動について研究して行きたいと思います。
 原則として文中敬称略です。
 調べられる範囲内で、オリコンでのチャート・アクションも載せました。"累積得点"は市場での売上枚数のことで、10枚=1点ということになっています。例えば、577点なら、約5770枚売れた、と考えればいいわけです。"登場回数"は、オリコンの100位内への登場回数のことです。もっと詳細なデータをお持ちの方はぜひご一報下さい。チャートに限らず、リストの不完全なところなどは、当HPか私宛に随時ご指摘いただければ幸いです。情報を提供下さった方のお名前は文末に掲載させていただこうと思っていますが、不都合のある方はその旨お書き添えいただきたく存じます。(担当:佐藤公哉)

 

『目標百萬枚』/ツービート(1981.7.21)

a.  
・たけし冒頭の挨拶  
1.裏切り者ツービート 作詞:教重清隆/作曲:加瀬邦彦/編曲:伊藤銀次
・たけしからのメッセージ(幸福編)  
2.いたいけな夏 作詞:教重清隆/作曲:加瀬邦彦/編曲:伊藤銀次
・作文 僕の相棒  
3.ひとりぼっち街角 作詞:教重清隆/作曲・編曲:加瀬邦彦
4.悲しみを吹き飛ばせ 作詞:教重清隆/作曲・編曲:加瀬邦彦
・たけしからのメッセージ(不幸編)  
5.Way Alone 作詞:教重清隆/作曲・編曲:加瀬邦彦
b.  
・きよし冒頭の挨拶  
1.茅場町の女 作詞・作曲:加治木剛/編曲:浦山秀彦
・ショート・ショート(真夜中のテレフォン)  
2.チェンジング・ハート 作詞:教重清隆/作曲:佐々木勉/編曲:桜庭伸幸
・回想(デビュー当時のツービート)  
3.雨の権之助坂 作詞:伊豆田利久/作曲:伊豆田利久/編曲:浦山秀彦
・カラオケ(あなたもたけしに)  
4.ためらわないで 作詞:教重清隆/作曲:佐々木勉/編曲:桜庭伸幸

 ツービートとしてのファースト・アルバム。曲間にショートコントが挿入されているのは、当時流行ったYMOの一連のアルバム(『増殖』とか)なんかを意識してたのかな?このショートコントでのたけしさんの声がすごく若くて、今聴くとなかなか微笑ましいものがあります。ある意味、このアルバムでの最大の聴きどころかも。
 ただ、この頃FMで島田紳助(#1)と対談してて、「歌はマジで行きたいんだよな」みたいな話で意気統合してたのを覚えてますから、たけしさんご本人としては、ホントはショートコントとかはあんましやりたくなかったのかも知れません。
 A面がたけしサイド、B面がきよしサイドという構成で、たけちゃんサイドに着目してみると、作曲は全曲加瀬邦彦。言わずとしれたワイルドワンズのリーダーですね。で、このアルバムからのシングル"いたいけな夏"は、加瀬作曲の沢田研二の名曲"危険なふたり"を彷彿とさせます。このあと出た"BIGな気分で歌わせろ"も、ジュリーのヒット曲"おまえにチェックイン"を作った柳川英巳/大沢誉志幸のコンビによる曲だったりして。ディレクターの小池氏を初めとするスタッフは、ひとまずは沢田研二の線を意識してたけしさんの音楽を作ろうとしてたのかも。
 ということで、ジュリーとたけしさんの共通項を無理矢理こじつけるなら、その声に漂う倦怠感、ということになりましょうか。いつも、ひどく疲れている。そしてそれゆえに、どんなに激しく叫んでも、暑苦しかったりしない。今から思うと(特に後期の)オールナイトニッポンを聞くときの私は、その倦怠に触れたくて聞き続けていたような気がします。
 とは言え、ここでのたけしさんの声には、あまり倦怠の匂いはありません。それはまた、のちの話。若々しくて、カワイイって言ってもいいくらいの爽やかさがここにはあります。これはこれで、今になってみると、微笑ましいものですね。"いたいけ"以外だと、のちのたけしさんの音楽性の主流となる"たけし流リズム&ブルーズ"路線の先駆けと言える"ひとりぼっち街角"はなかなかの佳曲。
 きよしさんサイドは基本的にムード歌謡の世界。きよしさん、なかなか歌うまいです(苦笑)。ショートコント部分では「よしなさい!」を初めとするきよしさんの名調子がたっぷり堪能できます。

(#1)この頃は紳助さんも"紳助バンド"を作って音楽活動に燃えてた頃ですね。

 

『ヤイ!ヤイ!ヤイ!ツービートがやって来た~オールライブニッポン』ツービート(1981.11.21)

a."絶倫壱極上篇"
事件簿・その1.クイズ100人に聞きました/2.たけしの浮気/3.洋七の浮気/4.まちがい電話/5.アルタ待ち合わせ事件/6.おふくろの説教/7.ガッツ石松コーナー/8.具志堅用高コーナー/9.きよし怒りのナイトクラブ/10.シンスケバンド事件/11.ブスコーナー/12.サイパン事件/13.パスポート事件/14.きよしの水泳事件/15.色盲検査/16.養老院事件/17.中風バアさん事件/18.いたいけじいさん/19.ローズマリー事件/20.ABCナンパ/21.走りナンパ事件/22.ホテル連れ込み事件/23.高松ナンパ事件/24.無差別攻撃事件/25.泡おどり事件/26.山形秘話/27.蚊取線香事件/28.貧乏事件/29.バッティングセンター事件/30.きよしの野球教室/31.メモレー・コーナー/32.高崎の暴力団事件/33.山形のやくざ事件/34.暴力団野球事件/35.マッサージ事件/36.せんだみつおコーナー/37.かけゴルフ事件/38.トルコ事件/39.ボランティア事件/40.タマキン全力投球/41.ジャイアント馬場コーナー/42.村田英雄コーナー/43.若人あきらコーナー

b."熱狂ライブ イタイケ篇"

TALK-1.観光旅行事件/2.修学旅行事件/3.おみやげ事件/4.泥棒事件/5.健忘症事件/6.変態事件/7.逆転マンザイ/8.きよしの表札/9.山形の暴走族/10.山形の大雪事件/11.山形秘話/12.金属バット事件/13.ビル落下物事件/14.恐怖の畳事件/15.ひ弱な子供事件/16.たけしの幼少時代①/17.犬のウンコ事件/18.水恐怖事件/19.たけしの警視総監賞事件/20.たけしの検便事件/21.たけしの幼少時代②/22.たけしのハエ採り方
TAKE-1.うなずき音頭/2.ためらわないで/3.雨の権之助坂/4. 裏切り者ツービート/5.ハングリー・ハート/6.ホット・レッグス/7.いたいけな夏

 A面がたけしさんの漫談、B面がツービートの漫才と歌、という構成のライヴ盤。この盤は手元になかったので長らくレヴューできないままでしたが、最近音源を聴く機会がありましたので改めて。
 漫談及び漫才は、当時のたけしさんの定番ネタがぎっしりという感じ。やはりガッツ石松さんについてのネタは人気が高く、たけしさんが「ガッツさんもねー」と言った瞬間に拍手が起こったりしています。ガッツさんとジャイアント馬場さんはいつの時代も笑いの基本、といったところでしょうか。
 歌で聴きものなのはやはりたけしさんによるラスト四曲で、とりわけ"ハングリー・ハート"~"ホット・レッグス"と続く洋楽カヴァー・メドレー(前者はブルース・スプリングスティーン、後者はロッド・スチュアートのカヴァー)、これはすごい。若きたけしさんの迫力溢れるシャウトに圧倒されること間違いありません。ついでながら、"ハングリー・ハート"では、♪Everybody's got a hungry heart~、という英語のコーラスをきよしさんがつけていて、これは何だか笑えます。

 ツービート関連のレコードとしては、他に『THE MANZAI』のLPなんてのも出ていますね。

 

『俺に唄わせろ』(1982.6.21)

a.  
1.BIGな気分で唄わせろ 作詞:柳川英巳/作曲:大沢誉志幸/編曲:清水信之
2.夜につまずき 作詞:ビートたけし/作曲:泉谷しげる/編曲:矢野誠
3.ハードレインで愛はズブヌレ 作詞・作曲:大沢誉志幸/編曲:清水信之
4.いじけいじけて 作詞:ビートたけし/作曲:佐藤隆/編曲:川口真
5.CITY BIRD 作詞・作曲:滝沢洋一/編曲:清水信之
b.  
1.信じあうことは 作詞・作曲:Rou Stallman-Bob Susser/日本語詞:ビートたけし/編曲:矢野誠
2.暗い部屋で 作詞:糸井重里/作曲:小田裕一郎/編曲:川口真
3.ニヒルの革命 作詞:巻上公一/作曲:Casey Rankin/編曲:清水信之
4.おれが武だ 作詞:ビートたけし/作曲:泉谷しげる/編曲:川口真
5.チャリ茶(ティー) 作詞:伊藤アキラ/作曲:小田裕一郎/編曲:川口真

 ファースト・ソロ・アルバム。このアルバムが、たけしさんの本格的な音楽活動のスタートと言っていいでしょう。この頃のたけしさんは、オールナイトニッポンでの快進撃で「漫才ブームの中の三、四番手」から抜け出してワン&オンリーの国民的英雄へと駆け上がって行く、正にそのスタートを切った時期。アルバムにも勢いがみなぎっています。

 冒頭三曲がとにかく強力。"BIGな気分で唄わせろ"は、その後もたけしさんに数々の名曲を提供することになる大沢誉志幸との記念すべき初コラボレート。今になってこの曲の歌詞を読み返すと、のちに詩集『キッド・リターン』の中の"我々はビー玉である"という詩でたけしさんが語ってくれた世界に近いように思うのは、私だけでしょうか。♪だけど俺を信じてくれるなら、という部分のシャウトにシビレずにはいられません。
 "夜につまずき"はファンの間では"浅草キッド"と並んで人気の高い曲。作曲者の泉谷しげる(#1)は"翼なき野郎ども"や"野生のバラッド"といった骨太でしっかりしたメロディラインを持ったロック・ナンバーの名作をたくさん残しています。そんな泉谷の持ち味が十二分に発揮されたこの曲では、たけしさんもそれに応えて、自分の半生を正面切って歌詞に乗せて歌い切ってくれています。この歌詞をバイブルのように思うたけしファンは少なくないはず。全部ここに引用したいくらいのものですね。
 ANNで最初に"ハードレインで愛はズブヌレ"を聴いたときはホント、グッと来ましたね。初オンエアのときは、間奏に「どれだけ、どれだけ熱い愛を語れば~」なんてセリフが入ってるヴァージョンでした(当時のテープが私の部屋のどこかにあるはずなのだけど見つからない。残念)。たけしさんのラヴ・ソングには、現在進行形の恋愛よりも、お別れした女性への「すまなかった」という想いを歌ったものが多いのですが、♪優しさに甘えていたさ、という一節が心に染みるこの曲は、そうした"たけし流トーチ・ソング"の第一号ですね。
 "信じあうことは"は洋楽のカヴァーらしいのですが、原典を誰が歌ってるのか未だに私は知りません。どなたかご存知でしょうか。
 "ニヒルの革命"作詞の巻上公一は、テクノ・バンド、ヒカシューのリーダー。って言うか、たけしさんのファンには、軍団のみなさまがちょくちょく出て来る『新・諸国漫遊記』(フジテレビ・土曜12:00)の♪風まかせ~、っていうテーマソングを歌ってるひと、と言った方が通りがいいかもね。
 同じく、作曲のケーシー・ランキンは、"男たちのメロディー"や『探偵物語』のサントラで知られるショーグンの中心人物。ショーグンの粋でなおかつ力強いサウンドは、たけしさんの音楽がお好きな方ならきっと気に入るはず。クルマ運転してるとき聴くといいんだよね。CDが四枚出てるので興味のある方は聴いてみて。そう言えば、ショーグンのリード・ヴォーカル兼ギタリストの芳野藤丸も『おれに歌わせろ』にギタリストとして参加しています。それにしても、ヒカシューとショーグンのソングライター・チームなんてずいぶん異色の組み合わせだなァ。
 そして、このアルバムの価値をより高めているのが"おれが武だ"。たけしさんが初めてテレビにその姿を現し始めたころ、それはそれは強力な存在感を放っていたのだけど、その存在感の中には"異物感"とでも呼ぶべき種類のものも多分にあったように思われます。あの、肩をコキコキと回すしぐさとか、猫背の姿勢とか。その後、週に七本も八本もレギュラー番組を持つようになって、私たちはその"異物感"をだんだんと忘れて行くわけですけど、妙にギクシャクしたメロディ・ラインをたけしさんが半ばヤケッパチにシャウトするこの曲を聴くと、たけしさんの持つ独特の異物感のことを改めて思い出さずにはいられません。

(#1)彼の自伝『わが奔走』(ロッキング・オン刊)に載ってたたけしさんのエピソード。以前『笑ってポン』BBSでも書いたことがありますが、改めて書いてみましょう。たけしさん、泉谷のライヴにゲスト出演したのだけど、いきなり漫談始めちゃったんだとか。金属バット殺人事件のネタとか。でも、ロック・コンサートで漫談やってもウケるはずないから、ヤジがひどくなっちゃって。で、そうなるとたけしさんも負けず嫌いだから「泉谷、オレに"翼なき野郎ども"歌わせてくれ!」って。で、演奏始まったらもう大騒ぎ、なんて話ですけど、たけしさんらしいですよね。

 

『これでもか』(1983.1.21)

a.  
1.Rock'n Roll Show 作詞:ビートたけし/作曲・編曲:足立区バンド
2.Call On Me 作詞:水本慶子/作曲:富田一夫/編曲:佐藤博
3.オレたちのBeatles Song 作詞:ビートたけし、山川啓介/作曲:滝沢洋一/編曲:佐藤博
4.少しづつ消えていけYesterday 作詞:青木響/作曲:大沢誉志幸/編曲:佐藤博
b.  
1.Bay City On Blues 作詞・作曲:ジョニー大倉/編曲:佐藤博
2.Brother & Sister 作詞:大津あきら/作曲:鈴木キサブロー/編曲:佐藤博
3.Rock'n Roll Show 作詞:ビートたけし/作曲・編曲:足立区バンド(a-1の別テイク)
4.OK!マリアンヌ 作詞:大津あきら/作曲:鈴木キサブロー/編曲:足立区バンド
  (a-1,b-3,4は"ビートたけしwith足立区バンド"名義の作品)

 

 45回転のミニ・アルバム。たけしさんにとって初めての(セールス的な意味での)ヒット曲"OK!マリアンヌ"が、当時のたけしさんのツアー・バンドである足立区バンドの演奏で収められています。シングル・ヴァージョンに比べると拙い演奏ではあるけれど、足立区バンド・ヴァージョンにはバンドらしい一体感があって、私は好きです。

 というわけで、ツアー・バンドも結成し、いよいよたけしさんの音楽活動も本格化。ライヴを意識した作りのアルバムですね、これは。グラム・ロックな"Bay City On Blues"、足立区バンド最初で最後のオリジナル曲"Rock'n Roll Show"なんかは盛り上がりそう。
 で、そういう意味で一番熱いのが"少しづつ消えていけYesterday"。またもや大沢誉志幸作品で、彼が元々ルーツに持ってるR&Bフレイヴァーがここでは全開。スタックス・サウンドですね、これは。たけしさんもその辺よく判ってて、イントロではオーティス・レディング張りに「ガッガッガッ」なんてフェイクをキメてくれてます。
 それにしても"OK!マリアンヌ"って無内容な曲ですよね。「気分はセクシー・ロコモーション」で「サインはセクシー」と来ますからね(苦笑)。何なんだそれ。でも、まァ、それはそれで楽しいので全然オッケー。

 しょうもない歌詞と言えば、たけしさんがフライデー事件後初めて復帰したときのオールナイトニッポンって、途中までは「たけし軍団のオールナイト」として放送してて、軍団メンバーが謹慎中のできごとをいろいろと語ってたんですけど、義太夫さんが、たけしさんが初めて書いた歌詞のことを話してて。その歌詞ってのが「ジョニー、そう、奴の名はジョニー」なんてシロモノで、義太夫さん困っちゃったみたい(苦笑)。まァ、たけしさんの世代は、アキラとかユージローとか日活全盛の中で育ってる世代だってことを考えれば、そのセンス、判らないではないんですけどね。

 

『AM3:25』(1984.10.21)

a.  
1.過ぎ行く街 作詞:ビートたけし/作曲:南英司/編曲:川口真
2.惚れているから投げ飛ばし 作詞:松井五郎/作曲:大沢誉志幸/編曲:奥慶一
3.SUNSHINE 作詞:松井五郎/作曲:大沢誉志幸/編曲:山川恵津子
4.男というもの 作詞:来生えつこ/作曲・編曲:坂本龍一
5.パントマイムで林檎をむいて 作詞:松井五郎/作曲:織田哲郎/編曲:山川恵津子
b.  
1.抱いた腰がチャッチャッチャッ(Long Version) 作詞:大津あきら/作曲:大沢誉志幸/編曲:井上鑑
2.ポケットから堕ちた夜 作詞:松井五郎/作曲:大沢誉志幸/編曲:奥慶一
3.TAKESHIの,たかをくくろうか 作詞:谷川俊太郎/作曲・編曲:坂本龍一
4.ONE NIGHT SHOW 作詞:ビートたけし/作曲:南英司/編曲:川口真
5.新宿午前3時25分 作詞・作曲:ビートたけし/編曲:川口真

 

 セカンド・フル・アルバム。b-1,5は"ビートたけし&たけし軍団"名義の作品というクレジットになっていて、歌詞カード裏には、たけしさんともに八人の軍団メンバーの写真があります。というわけで、軍団を率いての活動もすっかり定着した頃の作品。

 何と言っても"たかをくくろうか"だなァ。たけしさんの曲の中では異色なレパートリーだけど、私のフェイヴァリット・ナンバーですね。初めて聴いたのは、『戦場のメリー・クリスマス』がカンヌで賞を逃した日のオールナイト・ニッポン。バックに "Merry Christmas Mr. Lawrence"を時々オーヴァーラップさせながら、なんていう、かなり意地悪な形でのオン・エアでした。にもかかわらず、その曲に漂う寂寥感が何とも心を捕らえて離さず、レコード店でシングルを購入したのは、それから程なくして『戦メリ』を見に映画館へ行った帰りの夏の午後だったかな。夕暮れを見ながら"たかをくくろうか"を繰り返し聴いた日のことは忘れられません。あれ以来、私の心のベストテン第一位はずっとこの曲です。と同時に、私にとってのたけしさんの存在が「夜中のラジオでものすごく面白いことばかり言ってるひと」以上のものになったのも、この曲を抜きにしては語れません。
 本人の作詞ではないにもかかわらず、"たかをくくろうか"は、たけしさんのかなりコアな部分に接近しています。ひとはしあわせになる権利があるとか何とか言うけれど、別にしあわせになんかならなくていいよなァ、みたいなことをたけしさんはときどきおっしゃることがあって、それを聞くたびに私は何だか救われたような気持ちになるのだけど、諦念に満ちたこの曲を聴いていて私が感じるのは絶望よりも希望であり、救いです。ひとには、しあわせになる権利もあるけれど、別にしあわせにならないでいる権利だってある。そのことに気づいたとき、ひとはもっともっと自由になれるような気がします。
 と、何だかヘタな宗教の勧誘みたいな文章になってしまいましたけど、実際、この曲に漂う厳かな空気は讃美歌のようでもあります。そしてそれを歌うたけしさんの声はとても優しい。
 ところで、"たかをくくろうか"って、どうして"TAKESHIの"って上についてるのか、謎だったんですけど、どうも"たかをくくろうか"っていう谷川俊太郎の詩には、小室等が曲をつけたものが先にあったらしいんです(小室のアルバム『今生きているということ』に収録。筆者は未聴です)。となると、この歌詞をたけしさんに歌わせたのは、作編曲した坂本龍一ということになります。何て鋭いセンスしてるんだろう。

 その他の曲もいいですよ。たけしさんのシングルとしては最もキャッチーな"抱いた腰がチャッチャッチャッ"は文句なく楽しめるし、山川恵津子(#)の編曲による"SUNSHINE"も捨てがたい。"男というもの"は深夜のドライヴ向きかな。ちょっと自伝的要素もある"過ぎゆく街"も名曲。
 たけしさんが初めて作曲もした "新宿午前3時25分"は、オールナイト・ニッポンが終わって、当時有楽町にあったニッポン放送から新宿に辿り着くころの時間をあらわしている、と解釈するのが一般的でしょう。しかし、この歌詞の内容からして、実はオールナイトとはあまり関係がなくて、そのころたけしさんがお付き合いなさってた女性の部屋を出て行くときの情景ではないかと、このごろは思うようになりました。そう考えると余計せつないね、この歌は。

(#)山川恵津子さんはホントに素晴らしい作編曲家で私は大ファンです。渡辺満里奈や奥奈恵のレコードで素晴らしい仕事をしています。ノーブルでポップな彼女のセンスは"SUNSHINE"でも遺憾なく発揮されていますね。

『野戦病院~ビートたけし&たけし軍団ライブ』(1985.7.5)

a.  
1.抱いた腰がチャッチャッチャッ 作詞:大津あきら/作曲:大沢誉志幸
2.ONE NIGHT SHOW 作詞:ビートたけし/作曲:南英司
3.ハード・レインで愛はズブヌレ 作詞・作曲:大沢誉志幸
4.過ぎゆく街 作詞:ビートたけし/作曲:南英司
5.SUNSHINE 作詞:松井五郎/作曲:大沢誉志幸
6.夜につまずき 作詞:ビートたけし/作曲:泉谷しげる
b.  
1.少しづつ消えていけYesterday 作詞:青木響/作曲:大沢誉志幸
2.ミッドナイト・エキスプレス 作詞:門谷憲二、ビートたけし/作曲:小野純次
3.新宿午前3時25分 作詞・作曲:ビートたけし
4.BIGな気分で唄わせろ 作詞:柳川英巳/作曲:大沢誉志幸
5.OK!マリアンヌ 作詞:大津あきら/作曲:鈴木キサブロー
6.バラード 作詞・作曲:グレート義太夫
  全編曲:ビートたけし&シークレット・ポリス

 

 今のところ唯一のライヴ盤。b-2,6はスタジオ盤未収録曲。b-2の作詞クレジットにたけしさんの名前があるのは、恐らく、歌詞をちゃんと覚えてなくてその場で作って歌ってたからじゃないかな(苦笑)。"OK!マリアンヌ"を歌う軍団は歌詞うろ覚えだし、ライヴならではの荒っぽさも相当見えるアルバムではありますが、その分、生なたけしさんが感じられるアルバムでもあります。ラストで一生懸命「ありがとう!」って叫んでるたけしさんの声に泣かずにはいられません。

 "バラード"は、今のところ唯一の義太夫さんによる作品。これがまたかなりの名曲。来るべきたけしさんのニュー・アルバムには義太夫さんの作品もいくつか収録されるとのことで、これは楽しみですね。

 

『浅草キッド』(1986.8.15)

a.  
1.ロンリーボーイ・ロンリーガール 作詞・作曲:ビートたけし/編曲:森村献
2.哀しい気分でジョーク 作詞:大津あきら/作曲:大沢誉志幸/編曲:奥慶一
3.I FEEL LUCKY 作詞:MICHAEL MAO/作曲:大沢誉志幸/編曲:杉山卓夫
4.I'll be back again…いつかは(TAKESHI&TAKA) 作詞:関口敏行、伊藤輝夫/作曲:BABA/編曲:奥慶一
5.ポツンと一人きり 作詞:島エリナ/作曲:田中真美/編曲:奥慶一
6.捨てきれなくて 作詞:大津あきら/作曲:大沢誉志幸/編曲:奥慶一
b.  
1.宵闇スターダストON THE BEACH 作詞:大津あきら/作曲:中村裕介/編曲:奥慶一
2.見る前に跳べ 作詞:先生/作曲:茂村泰彦/編曲:奥慶一
3.ポケットから堕ちた夜 作詞:松井五郎/作曲:大沢誉志幸/編曲:奥慶一
4. I'll be back again…いつかは (Original Version) 作詞:関口敏行、伊藤輝夫/作曲:BABA/編曲:奥慶一
5.四谷三丁目 作詞・作曲:ビートたけし/編曲:森村献
6.浅草キッド 作詞・作曲:ビートたけし/編曲:吉川忠英

(a-1~3,b-5は"ビートたけし&たけし軍団"、a-4は"ビートたけし&ガダルカナル タカ"、b-4は"TAKESHI&HIROKI"名義の作品)

 セールス的に最も成功したアルバム。確かオリコンの三位まで行ったんじゃないでしょうか。たけしさん唯一のオリコン・トップ10ヒット"I'll Be Back Again …いつかは"を筆頭にヒット・シングル満載のアルバムですから、それも当然でしょうか。
 "ロンリーボーイ・ロンリーガール"は、のちに"修善寺で別れた大宮の女"や"Seaside Woman Blues"(#)で全開になるたけしさんのムード歌謡体質が初めて本格的に現れた曲。当時はあまり好きではありませんでしたけど、今はもう定番ソングとしていつだって口ずさんじゃいますね。
 "哀しい気分でジョーク"は、たけしさん主演の同名映画の主題歌。映画そのものは、当時たけしさんがオールナイトでゲラゲラ笑いながらあらすじを話すのを聞いて、いっしょに大笑いしながら「そんなお涙頂戴映画にたけしさんが出るなんてホントかな」と思ってたらホントにそういう内容だったので「シャレじゃなかったんだ」と唖然とした記憶がありますが、曲はカッコイイですよ。当時のたけしさんのプライヴェートをせつなく描くと"新宿午前3時25分"みたいなものになるけれど、ひたすらスタイリッシュにクールに描いたらこんな感じになった、というところでしょうか。
 "ポツンと1人きり"は当時から大好きな曲でしたけれど、自分自身が齢を重ねるごとにますます好きになった曲です。二十代後半以上で、何度かは本気でひとを好きになったことのある人間にとってはせつなすぎる歌ですね。別れた恋人のことを思い出すとき、目に浮かぶのはどうして幸せな情景ばかりなのだろう?というのは、そのくらいの年齢の人間なら身につまされるはずです。と言うか、別れるときのひと悶着をそのまま引きずって、ずっとその相手を恨んだりしていられるほど元気ではない自分がすでにここにいることを、苦笑いとともに認めてしまわざるを得ない、自分を完全に否定してしまうには少しばかり背負うものが多くなりすぎてしまった齢頃の人間にとって、この歌はほろ苦く響きます。楽曲としても、たけしさん流R&Bの最高傑作のひとつだと思います。
 "捨てきれなくて"もまたトーチ・ソング。どうしてたけしさんは、終わってしまった恋愛の歌ばかり歌うのだろう。でも、この曲の場合は、"ポツンと"とは逆に、若い失恋の歌って感じがします。だから、ためらわずに何度も汽車を乗り継いで行く行動力もあるし、アレンジにも透明感がある。淋しげな曲調とは裏腹に、希望が感じられる曲です……って、似たような形容は"たかをくくろうか"でも使いましたね。どうやら私はそういうのが好きみたい(苦笑)。
 "見る前に跳べ"は、たけしさんの大好きな大江健三郎の同名小説から取られたタイトル。作詞の"先生"というのはたけしさん本人で、「クレジットどうしますか?」と聞かれたたけしさんが「先生でいいだろ、先生で」とか何とかテキトーに応えたら、それがそのままクレジットされたんだとか。軍団の名前を決めるとき、東国原英夫さんだけはそのまんま芸名を変えない、という意味で「そのまんま東」と言ったらそれがそのまま芸名になってしまった、というエピソードに通じるものがあります。
 そして、何と言ってもラストの二曲。"四谷三丁目"は当時のたけしさんの"今"が、"浅草キッド"には"過去"が濃縮されています。ついでに言うと"未来"は"見る前に跳べ"だったりもして、一見シングルの寄せ集めに見えるこのアルバムにも(結果的なものではあるだろうけど)一本筋の通ったコンセプトがあることに気づかされます。

(#)サザンのオリジナルを超えた!と一部で評判のこの曲、ちゃんと次回作に入るのかな。

 

『卒業』(1987.7.29)

a.  
1.言いつづけて 作詞:川村真澄/作曲:大沢誉志幸/編曲:井上鑑
2.オレによこせ 作詞:川村真澄/作曲:大沢誉志幸/編曲:井上鑑
3.Day Dream 作詞:川村真澄/作曲:大沢誉志幸/編曲:井上鑑
4.朝のおもさ 作詞:川村真澄/作曲:大沢誉志幸/編曲:井上鑑
5.クワイヤー 作詞:川村真澄/作曲:大沢誉志幸/編曲:井上鑑
b.  
1.I Miss You 作詞・作曲:ふぁんくうぃ さとう/編曲:シークレット・ポリス
2.Dame 作詞:清水覚/作曲:馬場孝幸/編曲:シークレット・ポリス
3.Drop Out Shuffle 作詞:広瀬道子/作曲:小野純次/編曲:シークレット・ポリス
4.横須賀Summer day 作詞:ビートたけし/作曲:南英司/編曲:シークレット・ポリス
5.Lady Tokyo 作詞・作曲:ふぁんくうぃ さとう/編曲:シークレット・ポリス

 フライデー事件からの復帰第一弾アルバム。これまでたけしさんのアルバムというと、シングルを何枚か出したあと、それに数曲付け加えて完成、というパターンが多かったけれど、半年間の充電期間中にレコーディングされた本作は、たけしさんにとって初めてオール新曲のアルバムとなりました。その分音楽的ト―タリティは高く、一気に通して聴けます。
 "トリ・BEATライヴ"で義太夫さんがイントロを見事に弾きこなしてくれたのも印象に新しい"I Miss You"、この曲は当時好きでしたねー。作曲者のファンキー佐藤さんは本名を佐藤公彦さんといって、のちに近田春夫&ヴィブラストーンやメンズ5でも活躍されましたが、私と名前が一字違いということで、以前とあるBBSで「ひょっとしてメンズ5のキミちゃん?」と、間違われたことがあります。すかさず「それってシークレット・ポリスのファンキーさんのこと?」と応えると、間違われた方が今度は驚いておられましたけどね。まァどうでもいいようなお話ですけど。

『豪華絢爛』(1988/09/07)累積得点:2091/最高位:15位/登場回数:4

a.  
1.あのこ逃げ足が早いよ 作詞:阿久悠/作曲:鹿紋太郎/編曲:奥慶一
2.BOY~Another Version 作詞:阿久悠/作曲:馬場孝幸/編曲:奥慶一
3.ハートブレイクダンディ 作詞:阿久悠/作曲:吉実明宏/編曲:奥慶一
4.眠れない 君が欲しい 作詞:阿久悠/作曲:吉実明宏/編曲:奥慶一
5.宵闇のチェンジバンド 作詞:阿久悠/作曲:渡辺信平/編曲:奥慶一
6.中国残留孤児の唄 作詞・作曲:ビートたけし/編曲:海出景広
b.  
1.THE BAND 作詞:阿久悠/作曲:吉実明宏/編曲:奥慶一
2.ライブ・イン・スクールバス 作詞:阿久悠/作曲:茂村泰彦/編曲:奥慶一
3.うぶな娘 作詞:阿久悠/作曲:渡辺信平/編曲:奥慶一
4.BE COOL 作詞:阿久悠/作曲:パンタ/編曲:奥慶一
5.バーボンEXPRESS 作詞:阿久悠/作曲:渡辺信平/編曲:奥慶一
6.東京子守唄 作詞:阿久悠/作曲:ビートたけし/編曲:奥慶一
  (a-2、b-1は"ビートたけしwithたけし軍団COUNT DOWN"名義の作品)

 

 この頃はすでにたけしさんの音楽活動も安定期で、年に一枚はアルバムを出すのが当たり前になっていました。しかしそれは同時にルーティン・ワーク化してたということでもあって、『おれに唄わせろ』の頃のような、右も左も判らない音楽の世界に無勝手流で殴り込んで行くような勢いというのはなくなってしまいました。全曲作詞の阿久悠を筆頭に、作曲陣もパンタ(#)を除くと職業作曲家の名前がずらっと並び、以前のたけしさんのアルバムには必ずあった手作り感がグッと薄くなったこのアルバムを聴いて、「たけしさん、音楽やる気なくなっちゃってんじゃないかなァ」と私は不安になったものでした。残念ながら予感は的中して、これを最後にたけしさんのオリジナル・アルバムは発表されていません。
 と書くとこのアルバムは駄作のようですが、そんなことはありません。これはこれで名曲揃いです。少なくとも「眠れない 君が欲しい」と「東京子守唄」の二曲はたけしさんらしいバラードの名曲です。
 アルバム全体からは浮き上がっていますが、隠れた名曲として特筆すべきなのが"中国孤児の唄"。ピアノだけをバックに歌われる"蘇州夜曲"風の小唄ですが、歌詞がまた泣けるんだ。きっと、新聞かテレビで中国残留孤児のニュースに接したたけしさんが、そのとき頭に浮かんだストーリーをさっとスケッチしたらこうなった、というものだと思いますから、言ってみればたけしさん版"A Day in the Life"ということになりましょうか。でも、ジョン・レノン同様たけしさんも、そんな一瞬のインスピレーションがこんなに美しく結晶する辺りが並ではありません。当時私はこの曲ばかり繰り返して聴いてたなァ。

(#)日本ロック界の巨人、パンタ。当時、発売されて間もなかった彼の最高傑作(と言うか、日本のロックの最高傑作だと私は今でも思っている)『クリスタル・ナハト』を聴きまくっていたので、パンタとたけしさんの組み合わせには胸をときめかせたものでしたが、残念ながら作曲だけの参加ということで、そんなに驚くような曲にはならなかったのが残念。いつか、たけしさんとパンタの本気のコラボレーションが見たいです。

 このあとは、年に一度か二度シングルが出たり出なかったりという程度の活動ペースに落ち着いて行くわけですが、映画『BROTHER』の撮影が終わったあとはいよいよ、待ちに待ったオリジナル・アルバムの制作に取りかかると聞いています。かつてのたけしさんの音楽を知っている世代も知らない世代も、楽しみに待とうじゃありませんか。

 

★シングル

<アルバムと同ヴァージョンのものについては、作家クレジットは省略させていただきました>

 

<ツービート>

☆~不滅の~ペインティング・ブルース(1980.4.21) 作詞:ツービート/作曲:鹿島豪也/編曲:槌田靖識

c/w みんなの童謡――「金太郎」(作詞 石原和三郎 作曲 田村虎蔵)~七つの子(作詞 野口雨情 作曲 本居長世)~虫の声(文部省唱歌)

演奏:ツービート/構成 戸川玲

☆ホールズ・ポールズ(オライオン映画『ホールズ・ボールズ』迷惑ソング)(1980.11.5) 作詞:いしかわじゅん/補作詩 ツービート/作・編曲:井上忠夫

c/w 頼むよロック・バンド 作詞:石川克子/作・編曲:浦山秀彦

[この二枚は私、つい最近まで聴いたことがありませんでした。とりわけ後者はかなりのレア盤ですね。
“不滅のペインティング・ブルース”と“みんなの童謡”これはどちらとも歌じゃないんですね。くわしくはこちらを御参照下さい。
“ホールズ・ポールズ”については、作詞のいしかわじゅん氏<漫画家>が、キーが合わないのに新しいオケを作る時間がなくて無理矢理歌わせたので聴くに耐えない出来になってしまった、というエピソードを、御自分のホームページで披露されてました。実際、A面はホントにツライものですが、B面の“頼むよロック・バンド”、これはなかなかいいです。のちの“Bay City On Blues”辺りに通じる横揺れのロックンロール・ナンバー。初めてたけしさんが本格的に歌った、という意味では、記念すべき楽曲であります]

☆俺は絶対テクニシャン(ビートたけし)(1981.2.21) 作詞:来生えつこ/作曲:遠藤賢司/編曲:浦山秀彦 c/w茅場町の女(ビートきよし)

[♪ピコピコパコパコ、のフレーズでおなじみの超迷曲。私は数寄屋橋のハンターで500円で買いました。ハンターで500円ってのはかなり高い方ですから、これもかなりのレア盤ですね。作曲が遠藤賢司というのはとても意外ですが、考えてみれば彼もこの頃は細野晴臣のプロデュースで『オムライス』なんてアルバムを作った頃ですから、テクノ・ポップしててもおかしくないと言えばそうなのですが……。遠藤さんも「日本のニール・ヤング」と呼ばれる魂のシンガー・ソング・ライターだけに、たけしさんとのガップリ四つのリターン・マッチ・コラボレーションを期待したいところです]

<ビートたけし>

☆いたいけな夏(1981.6.5) c/w 裏切り者ツービート 最高位74位

☆BIGな気分で唄わせろ(1982.5.21) c/w ハードレインで愛はズブヌレ

☆OK!マリアンヌ(編曲:清水信之)(1982.9.5) 最高位40位
c/w CITY BIRD 作詞:滝沢洋一、山川啓介/作曲:滝沢洋一/編曲:清水信之

["CITY BIRD"のアルバム収録時のクレジットには山川啓介さんの名前はありませんでしたが、このシングル収録時に追加されました。内容はいっしょです]

☆たかをくくろうか(1983.5.21) c/w 男というもの

☆抱いた腰がチャツチャッチャッ(1984.8.21) 最高位28位
c/w 私立ノストラダムス学園校歌 作詞:康 珍化/作曲:小林亜星/編曲:井上 鑑

[B面はアルバム未収録で、たけしさん主演のドラマ『ビートたけしの学問のススメ』主題歌。"校歌"だけあってイントロや間奏は賛美歌風にアレンジされているけれど、これが今聴くとちょっとジャマくさいのが残念。とは言え曲自体はノーザン・ソウル風味の佳曲。このシングル、A面もアルバムとはアレンジ違いだし(間奏とエンディングが少しエディットしてある)、アルバムを全部揃えたファンも持っていて損はない一枚ですね]

☆哀しい気分でジョーク(1985.2.21)c/w捨てきれなくて 最高位37位

☆ポツンと一人きり(1986.2.5) c/w見る前に躍べ
累積得点:2054/最高位:34位/登場回数:6

☆I'll be back again...いつかは(1986.5.21)<TAKESHI&HIROKI>
c/w 俺の妹に何てことを 作詞:秋元康/作曲:芹沢廣明/編曲:大村雅朗
累積得点:14244/最高位:8位/登場回数:13

[B面はアルバム未収録。当時はおニャン子クラブやとんねるずの一連のヒット曲の作詞家として知られた秋元と、チェッカーズの一連のヒット曲を手がけた芹沢のコンビという、何かビクターというよりポニー・キャニオンっぽいソングライター・チームによる楽曲ですが、どうもやはり彼らの作風はたけしさんには合わなかったようで、いまひとつ弾けないコミック・ソングに終わってしまっているのが残念。秋元の出世作"子供たちを責めないで"(歌:伊武雅刀)くらいのキレをここでも見せて欲しかったところです]

☆I FEEL LUCKY(1986.5.21) c/w宵闇スターダストON THE BEACH
累積得点:2231/最高位:35位/登場回数:6

☆ロンリーボーイ・ロンリーガール(1986.8.15) c/w四谷三丁目
累積得点:1904/最高位:31位/登場回数:5

☆BOY~If I'm 17(1988.7.16) c/w 東京子守唄
累積得点:3429/最高位:21位/登場回数:8

["BOY"の歌詞はアルバム・ヴァージョンとは違っています]

☆嘲笑(1993.6.23) 作詞:ビートたけし/作曲:玉置浩二/編曲:服部克久
c/w  風の街のジュウちゃん 作詞:山本伊織/作曲:玉置浩二/編曲:服部克久

[『北野ファンクラブ』主題歌だった"嘲笑"、これは名曲。作曲の玉置浩二が非常に優れたシンガー・ソング・ライターなのは皆様御案内の通りですが、彼の持ち味と、御大・服部克久先生のアレンジが見事な成果を生んでおります。奇を衒うことなく真正面からオーソドックスな"名曲"を作れるこのふたりが実力をいかんなく発揮しています。歌詞は詩集『kid return』に収められたものが使われていますが、この詞がまた"空想モードのたけしさん"ならではのイマジネイティヴなフレーズでいいんだなァ。理工系のロマンティシズム、とでも言うか。そう言えばビックバンとかカール・セーガンの本とかについてたけしさんがオールナイトで熱っぽく語るのを聞いて私もセーガンのその本を書店に注文して読んだことなんかを、書きながら思い出してしまいました。
カップリングの"風の街のジュウちゃん"は、副題に「小説『漫才病棟』より」とあるように、浅草時代のたけしさんに強烈な印象を残したヤクザの"オペラのジュウちゃん"をイメージして作られた歌。実際のオペジュウさんについてのエピソードと比べるとこの歌詞は少しばかりきれい過ぎるきらいがあるとは言え、こちらも隠れた名曲として評価の高い一曲ではあります]

◆関連ユニット

★『オレたちひょうきん族』関連

<うなずきトリオ>(ビートきよし・島田洋八・松本竜助の三人によるユニットです)
☆うなずきマーチ(1982.1.1) 作詞・作曲:大瀧詠一/編曲:多羅尾伴内 c/w B面でうなずいて

[巨匠・大瀧詠一が手がけた幻の名曲。『大瀧詠一SONGBOOK2』のライナー・ノーツで作者自らこの曲を語った文章は必見ですね]

<アミダばばあ&タケちゃんマン>
☆アミダばばあの唄(1983.10.21) 作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:新田一郎
c/w アミアミダダバ アミダばば 作詞・作曲:関口和之

[たけしさんが桑田さんの歌を歌うのはこれが初めて。同じビクター所属だけにもっとたくさん実現していておかしくない顔合わせなのですが、ふたりとも大物すぎるのか、唯一レコード化されたこの顔合わせがポニー・キャニオン(さんまさんの所属レコード会社でもあり、『ひょうきん』関係は大体ここから出ていた)で実現というのはちょっと皮肉ですね。その後、サザンの"Seaside Woman Blues"をたけしさんがカヴァー。という形でこの顔合わせは再び実現するわけですが]

<タケちゃんマン&ナンデスカマン>

☆"びっくり箱のうた"(1984.5) 作詞・作曲:松山千春/編曲:飛沢宏元
c/wタケちゃんマンロボのテーマ「愛より強く」(歌:町田義人、ナレーション:大平透)

[『ひょうきん』関連では他に、<ひょうきんストリートBAND>による"ザ・タケちゃんマン~タケちゃんマンの歌~"(たけしさん本人は歌っていません)、<ひょうきんディレクターズ>の"ひょうきんパラダイス"(作詞:伊藤アキラ/作曲:小杉大五郎/編曲:大谷和夫)なんてのもありました。高田文夫さん責任編集『笑芸人』(百夜書房)の『ひょうきん族』特集に詳しく書いてありますのでご参照下さい。なお、その辺を集めた『珍味』というオムニバスCDがポニーキャニオンより出てますので(PCCA-01012)、聴きたい方はチェックしてみてね(ただ、1996年9月20日発売とのことなので今はもう店頭にはなかなかないかも)]

 

<畑中葉子・ビートたけし>

☆丸の内ストーリー(82年) 作詞:とべあきよ/作曲:古田喜昭/編曲:戸塚 修
c/w左手で愛して 作詞:容蓮華/作曲:松宮恭子/編曲:戸塚 修

[たけしさんはA面にセリフで参加しています。詳細はこちらをご覧下さい]

<T's>

☆真っ暗な夜に(1991.8.21) 作詞・作曲所ジョージ
c/w 今夜かぎりのララバイ 作詞・作曲:所ジョージ

[所ジョージさんとのユニットです。所さんのアルバム『ホテル・チャイナタウン』には、所さんのソロ・ヴァージョンが収録されているようです]

<宮沢りえ>

☆心から好き(1992.2.14)作詞:Kikuji/作曲:山田直毅/編曲:難波正司
累積得点:6760/最高位:21位/登場回数:7

[たけしさんが歌詞を提供しています。詳細はこちらをご覧下さい。当時流行のグラウンド・ビートをかなり本格的に取り入れた名曲。私もクラブでレコードを回していた頃かけたのですが、作詞がたけしさんだと知ったのはずいぶんあとだったので、それを聞いた時には驚きました。言われてみると、"新宿午前3時25分"のストーリーを男女逆の視点で描いたような内容ですね]

 

<ビートたけし&ザ・常夏's(トコナッツ)>

☆GOD BLESS YOU(1994.3.12) 作詞:ダンカン/作曲:奥野敬士/編曲:山川恵津子
c/w 勇気を出して 作詞:兵頭ゆき/英語詞:山口美江/作曲:奥野敬士/編曲:山川恵津子
累積得点:1310/最高位:62位/登場回数:3

[『元気が出るTV』の企画シングル。常夏'sなんていうだけにキッド・クレオール&ザ・ココナッツを思わせるファンカラティーナ調の楽しい一曲。確か、キッド・クレオールもカヴァー・シングルを出しましたね。B面の"勇気を出して"は英語詞なのですが、以前の"I Feel Lucky"なんかと比べると英語の発音が格段にこなれているのに注目です]

<トビ木村と足手まといア~ンドビートたけし>

☆修善寺で別れた大宮の女(ひと)(1997.3.21) 作詞:サエキけんぞう/作曲:山崎利明
/編曲:森村献
c/w 大宮で別れた修善寺の女(ひと) 作詞:サエキけんぞう/作曲:山崎利明/編曲:森村献

[『北野ファンクラブ』の後継番組『北野富士』の企画シングル。作詞のサエキけんぞうさんが当WPで想い出を語って下さっているので合わせて御覧下さい。たけしさん好みのムード歌謡で、歌うたけしさんも気持ち良さそうです]

<ぢ・大黒堂>

☆友だちじゃないか  作詞・作曲:トータス松本/編曲:佐久間正英、トータス松本
c/w  ONE FEVER~片隅で~ 作詞:九篠絵里/作曲:山崎まさよし/編曲:小田和正
累積得点:5984/最高順位:20/登場回数:9

[これまた企画物。『新橋ミュージック・ホール』の司会を共に務めたトータス松本(ウルフルズ)、ユースケ・サンタマリアとのユニット。たけしさんの歌はほとんど聴けないけれど、楽曲としてはなかなか楽しい]

☆踊れ!ボンボン(ロックバージョン)作詞:九條仁里、ユースケ・サンタマリア/作曲:トータス松本/編曲:佐橋佳幸
c/w 踊れ!ボンボン(ビーチバージョン)
累積得点:577/最高位:72位/登場回数 2

[ぢ・大黒堂の第二弾。『たけしの浅草ブラブラ盆踊り』という特番(なかなかエンスージアスティックな視点で作られたいい企画でした)に合わせてリリースされました。ドアーズ風の"ロックバージョン"もイケてますが、ビーチ・ボーイズ風の"ビーチバージョン"がよりイイ出来です。往年を彷彿とさせる「バカ野郎この野郎」なんてたけしさんのシャウトも聴けるのでファン必聴。編曲の佐橋さん(※)の持ち味が発揮されてるのも"ビーチバージョン"の方だと思うし。なお、これはコレクター向け情報ですが、このシングルには"読売テレビエンタープライズ"から出されたものと"ソニーレコード"から出されたもの、二種類があるようです]
(※)佐橋佳幸さんは、ルーツ・ミュージック的な音楽でギターを弾かせたら現在日本一と言っても過言ではないギタリスト。佐野元春&ホーボー・キング・バンドや鈴木祥子さんのアレンジなどで活躍中。

 

<たけし軍団COUNT DOWN>

★シングル

☆BON・BON・BON (1986.11.1)作詞:サエキけんぞう/作曲:Frankie T./編曲:奥慶一
c/w BE MY GIRL 作詞:サエキけんぞう/作曲:馬場孝幸/編曲:奥慶一

☆CONFUSION(1987.2.21)作詞:そのまんま東、森田由美/作曲:茂村泰彦/編曲:奥慶一
c/w I CAN'T STOP 作詞:サエキけんぞう/作曲:Frankie T./編曲:奥慶一

☆一枚の写真 (1987.11.21)作詞:そのまんま東、森田由美/作曲:茂村泰彦/編曲:奥慶一
c/w 駆けてゆけ 作詞:そのまんま東、森田由美/作曲:Frankie T./編曲:奥慶一

★アルバム
☆『COUNT DOWN 1st』
a.
1.唄ってポン!作詞・作曲:そのまんま東/編曲:海出景広
2.CONFUSION
3.BE MY GIRL
4.恋は5回目 作詞:森浩美/作曲:茂村泰彦/編曲:森村献
5.ミッドナイト・ライトニング 作詞:サエキけんぞう/作曲:Frankie T./編曲:奥慶一
6.JUMPING POINT 1987 作詞・作曲:そのまんま東/編曲:奥慶一
b.
1.BON・BON・BON
2.I CAN'T STOP
3.思いっきり,I LOVE YOU 作詞:森浩美/作曲:馬場孝幸/編曲:森村献
4.君を呼び出せ 作詞・作曲:そのまんま東・大森うたえもん/編曲:奥慶一
5.唄ってポン!(LONG VERSION) 作詞・作曲:そのまんま東/編曲:海出景広

 

※よしえさんより、軍団関係のレコードについての解説をいただきました。以下、メールより引用させていただきます。

―――――――――――

1989年TBS系「ビートたけし殺人事件~失われた魔人の伝説」テーマソング
「女ごころ」LA KUNTA 作詞 東国原 英夫(東さん)/大森博文(大森さん)作曲 ボーカル 大森 うたえもんさん  ギター・コーラス グレート義太夫さん 楽器担当 そのまんま東さん です。
バラードで 女ごころを しみじみと 歌っています。 義太夫さんのギターや コーラスが またまたいいんですよ。
C/W もう一度 東国原 英夫作詞/よしだ つねきち作曲 これも バラードです。

松尾 伴内さんのCDシングル 93年  別れ雪C/W 遠い人よ 作詞・作曲 松尾 伴内  編曲 グレート義太夫です。
たぶん 諸国漫遊記に 出たときに 宣伝していて 当時ファンだったので 買いました。 なかなか 歌もうまいですし、いい演歌の曲です。ビクターエンターテイメント(株)のご厚意により 実現したものと 書いてありました。(笑) 

おぼっちゃまWithたけし軍団 1987年 TBS 風雲!たけし城 イメージソング 「風雲!たけし城音頭」
C/W続・風雲!たけし城音頭 そのまんま東作詞 井上ヨシマサ作曲・編曲 
歌っているのは、おぼっちゃまで コーラス・台詞?で たけし軍団です。
軍団の台詞みたいなコーラスが おもしろいです

―――――――――――

※その他、マヒナスターズの30周年記念盤で"泣かないで"をワン・コーラスだけ歌ったものだとか、きよしさんのソロのレコードや、たけし軍団IMAGE DOWNなどの関連ユニットについても、情報が入り次第アップして行きたいと思っています。


◆情報を御提供下さった方々(順不同)
ゆっこさん、かづみさん、Kitano町Kidさん、星野吉男さん、mikiさん、フーさん、伊賀の丸丸組長、非行処女さん、よしえさん、グレート三太夫さん、アヌタクさん

ありがとうございました。




↑ここまで、やで〜。

(たけしチルドレンズ・横丁からの特別ページ『ビートたけしの音楽活動について』より。そのまま移行  2019.4.1) 
(管理人に連絡が付かず、勝手にコピペにて、アップした身やけど、「こんなことしてる」と言われて、
 不愉快になったので、ファイル名変更しました。「こんなことしてる」と言われると悪いことみたいやん。
 たまたまアクセスして、たまたま記事見ただけやけど、見たとき「えっ???」ってなったもんなぁ。
 確かに、勝手に拾い上げてコピペして、アップしたんやけど、事情と思いを記載してるので、察して〜。
 横丁のページが消える以前から、管理人の方々とも連絡が付かないし…で、どうすることもできへんかったし、
 かと言って探し回るのも、失礼かと思ったんやわ。
 この方かな?と思ったブログは見つけたけど、ハンドルネーム違ってたし、違う人かも…と思ったし。
 あくまで、お預かりしてる状態なので、連絡が付き次第、どう扱うか、考えます。
 そんなこんなで、ファイル名変更しました。2020.11.2)