“~不滅の~ペインティング・ブルース”
たけし:皆さん、ごめん!実はオレね、歌歌えねェんですよ。
きよし:だったらレコードなんか出すな!
たけし:何だこの野郎、オレを誰だと思ってるんだ。天下のツービート様だぞ!
きよし:ははァ。
たけし:大体お前、漫才師が歌なんか歌えるわけないじゃないの。
きよし:そうだ!
たけし:何だ文句あるのか?ウチの親父はペンキ屋だぞ。しまいにゃお前んち塗っちゃうぞ!
(コーラス&間奏)
たけし:こら、こらこら、そこのブス!
きよし:ブス!
たけし:お前だよこの野郎、しらばっくれやがって。お前だっつってるのに。何きょろきょろしてんだよ。
きよし:自分じゃないと思ってんだろ、あいつは。
たけし:レコードを聴いてるお前だよ、ブスは。ブスは留守番でもやってろ!
きよし:そうだ!
たけし:ブスは外歩くな。
きよし:歩くな!
たけし:ブスはごはん食べるな。
きよし:食べるな!
たけし:ブスはパンツを履くな。
きよし:脱げ!
たけし:ブスは息すんな。
きよし:死ね!
たけし:何だ文句あるのか?ウチの親父はペンキ屋だぞ。お前の顔塗っちゃうぞこの野郎!
(コーラス&間奏)
たけし:こら、そこのバカ!
きよし:マヌケ!
たけし:お前だよこの野郎。勉強なんかするんじゃないよ、お前は。
きよし:そうだよ。
たけし:自分の親父の頭考えなさい。大体金あんのか?
きよし:ありません!
たけし:クーラーあんのか?
きよし:ありません!
たけし:姉さんきれいか?
きよし:いません!
たけし:だったらラジオなんか聞かないで勉強しろ、バカ野郎!何だ文句あるのか?ウチの親父はペンキ屋だぞ。お前の脳味噌塗っちゃうぞこの野郎!
(コーラス&間奏)
たけし:こら、そこのババア!そうやってテレビ見てるお前だよ。何が「ヒロインがかわいそう」だ。泣きながらケツ掻くんじゃない!お前の亭主の方がよっぽどかわいそうじゃねェか。
きよし:そうだよ。
たけし:歌舞伎みたいな化粧しやがって。鼻血を拭け鼻血を。何、口紅!?何だその服は。パリ・ファッション?パリ・ファッションってそんなもんダメだ!
きよし:ダメだ!
たけし:背中の膏薬どうにかしろ。
きよし:剥がせ!
たけし:パリ・ファッションでズロース履くな。
きよし:履くな!
たけし:お前もまとめて塗っちゃうぞ、この野郎!
(コーラス&アウトロ)
たけし:参ったか宇崎!
“みんなの童謡”
お姉さん:「みんなの童謡」
(拍手)
お姉さん:今日は、東京は葛飾区、柴又にやって参りました。これから、太田第四小学校の良い子のお友達を迎えての公開放送です。会場には、すでにたくさんのお友達が集まってますよ。良い子の皆さん、こんにちは!
たけし・きよし:こんにちはー。
お姉さん:それでは、元気に歌っていただきましょうね。会場のお友達、そしてラジオの前の全国のお友達、みんなで応援してあげましょう。今日の歌の伴奏をしてくれるのは、イソノヤスコ先生です。
(オルガンの音、拍手)
お姉さん:はい、では最初のお友達、御紹介致しましょう。ナルミシンくん、二年生のお友達です。
たけし:ナルミ、ナルミィ。
きよし:二年三組、ナルミシンです。「金太郎」を歌います。
たけし:あー、いいぞいいぞ、歌え。
(オルガンの伴奏に乗って)
きよし:♪マサカリ担いだ金太郎~、熊を相手に相撲の稽古~、はっけよいよい、残った、はっけよいよい、残った~。
たけし:何だよ、ウチの方と全然歌違うじゃねえか。違うよお前。
お姉さん:あ、静かにしてましょうね。
たけし:マサカリ担いだ金太郎、熊を相手に相撲の稽古、だよ。熊は喜んで、♪金太郎食っちゃった~。そういう歌だよ、オレんちの方は。
お姉さん:たけしくん、静かにしてましょう。シンくんとても上手に歌えましたね、どうもありがとう。
きよし:はーい。
たけし:何が。
お姉さん:続いて、ザイツトシロウくん。
たけし:おう、ザイツ、ザイツ。
お姉さん:一年生のお友達です。
たけし:ベーゴマ返せよザイツ。
きよし:「七つの子」ザイツトシロウ、一年五組。
たけし:んー、うまくねえんだ、あいつは。
お姉さん:静かにしてましょうね、たけしくん。
たけし:はい。
きよし:♪カラスなぜ鳴くの、カラスは山にかわいい七つの子が……。
たけし:そんな歌ないじゃないか。ウチと全然違うもの、だって。違うよ。
お姉さん:どう違うの?
たけし:ウチのは、ジイさんなぜ泣くの、だもん。バアさんが川で桃を取ろうとして落っこっちゃったんだよー、とこう行く。
お姉さん:たけしくん、ちょっとうしろに下がってましょうね。
きよし:先生、歌えないよぉ。
たけし:歌えないじゃないよ。
先生:もう三歩下がりましょう。
たけし:ウチのと違うんだもん!
お姉さん:はい、それでは三番目のお友達です。ハマヒロシくん、五年生。
たけし:ハマ、この野郎。
きよし:五年二組、「虫の声」を歌います、ハマヒロシです。
たけし:叩くぞハマ、この野郎。
お姉さん:たけしくん。
たけし:はい。
きよし:♪あれマツムシが鳴いている、チンチロチンチロチンチロリン。
たけし:アー、ドー。ソー!
お姉さん:たけしくん?
たけし:違うもん、全然、オレんちの方と。違うじゃねえか。
きよし:歌えないよ!
お姉さん:どういう風に違うの?
たけし:あれジイさんが泣いている、だもん。ジージージージージージージー。あれバアさんも泣き出した、バーバーバーバーバーバーバー。秋の夜長を泣き通す。♪あー面白い、虫の息、だもん。
お姉さん:虫の息じゃないんです。お友達が一生懸命歌ってるでしょ、たけしくん。静かに応援しましょうね。はい、次はカネコジロウくん、四年生のお友達です。
たけし:よっ、カネコ、カネコ。
きよし:四年四組、カネコジロウ。「ホタル」です。
たけし:いいのいるよ、ホテルホテル、好きなんだよ。ホ、ホテル来い、ってやつだろ?ホテル。
きよし:違うよ。
お姉さん:たけしくん、ホタルですよ。
たけし:知ってるもん、オレ見たことあんだわ。
きよし:ホテルじゃなくてホタルって……。
お姉さん:たけしくん!
たけし:お前と先生がホテル行くの見たことあんぞオレは、この野郎。
お姉さん:あの、たけしくん、あとでゆっくりお話聞いてあげますからね。
たけし:先生、先生の歌でしょ。ホテル来い、ってやつ。ほら。あっちのホテルは高いぞ、とか。
お姉さん:し、知りません……。
たけし:回転ベッドもあーるよ、なんてやってんでしょう!
お姉さん:よく知ってるのねー。でも、こういう歌は歌わないようにしましょう。はい、最後のお友達、マエムラサトルくんです。二年生。
たけし:サトルゥ。
きよし:マエムラサトル、二年二組。
たけし:何歌うんだよ。
きよし:「雪やこんこん」歌います。
たけし:あっ、これはね、これはオレに任せろ。オレに任せろ。任せろってオレに。これはアレじゃねえか、お酒もじゃんじゃん、だぞお前。お酒もじゃんじゃん、つまみもどんどん、飲んでも食ってもまだまだ足りぬ。お店は喜び駆けずり回り、幹事は途中でいなくなる、あはは!
お姉さん:(ついにキレた調子で)ホントにもうこのクソガキャア!うるさいっつってんだろ、静かにしろってんだよ!
たけし:イテッ!
お姉さん:黙れ!
たけし:痛ェー。
お姉さん:(元の口調に戻り)失礼致しました。良い子の皆さんが、一生懸命歌ってくれましたね。来週は、山形県の一本杉小学校・雪ノ下分校からお送り致します。では皆さん、さようなら。
たけし:さよならー(泣)。
(拍手)
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