任侠ファンタジー(?)小説・組員サイド任侠物語
『光と笑顔の新た世界〜真子を支える男達の心と絆〜

第四部 『新たな世界』

第二十話 真北家の家族旅行・告白の夜

少し静けさが漂う街の一角は、その静けさに不気味さを加えるかのような雰囲気が…。
まさちんとむかいんの恐ろしいまでの雰囲気は、路地に隠れていた野良猫を追い払うほどだった。

「…何が目的だ?」

今にも、手を出しそうなまさちんが、低い声で尋ねる。

「その女…阿山真子の…命だよ…」

まさちんとむかいんは、男の言葉に呆れた様子。

「残念だったなぁ。この娘は、阿山真子じゃぁないさ。
 そのランドのレストランで働く娘だよ。組長の顔じゃなく、
 俺の顔しか覚えていないんだな…そら、そうか。くっくっくっく!」
「…そんな嘘…俺達に効かないぜ」
「はふぅ〜。…関係ない者まで、巻き込みたくないんだよ。
 だから、お前!」

まさちんは、むかいんを指差した。

「お、俺?!」

突然、指を差されて驚いたように声を挙げる。

「あぁ。この二人を連れて、どっかへ去って行け」
「し、しかし…」
「だったら、背を向けて、こっちを見るな」

まさちんは、あくまでも、むかいんも他人扱いしていた。まさちんの言葉を聞いた三人は、まさちんに背を向けた。
その瞬間、まさちんの姿が、その場から消えた。

「うごっ!」
「げっ!!」
「ひっ!!」
「うひゃっ!」
「!!!」
「あぐっ……」

変なうめき声だけが、背を向けた方から聞こえてくる…。もちろん、金属が地面に落ちる音も聞こえていた。

「…さぁて、何か、言うこと…ある?」

まさちんは、一人突っ立っている男に、微笑みながら語りかけた。男は、一瞬の出来事を把握できないのか、自分の周りに倒れている男達をキョロキョロと見ているだけだった。そんな男に顔を近づけるまさちん。

「…そんな雰囲気で、狙うなんてなぁ、情けないぜ…」

ゴツッ!

まさちんの目の前の男は、力無く、後ろに倒れた。
まさちんの頭突きが、その男の額に入った様子…。男は、額から血を流していた。

「奈々美ちゃん、悪かったな」

まさちんは、背を向けたまま、奈々美に語りかけた。奈々美は、まさちんに振り向く。

「ひぃぃ!!!」

声にもならない悲鳴を上げてしまった。
奈々美が見たもの。
それは、まさちんの周りに倒れる男達が、真っ赤に染まっている姿…。

「俺は、こういう世界で生きている男なんだ。…だから、君とは付き合えない。
 それと、自分に正直に生きた方がいいよ。無茶して、大切な何かを無くしては
 後で、後悔する…」

まさちんは、そっと振り返り、奈々美を見つめた。

「悪いことした…そう思ったら、直ぐに素直に謝ること。これ、大切!」

まさちんは、奈々美に微笑んだ。

「…ありがとう、地島さん。あきらの…優しさ、すごく伝わった。
 …あきら、ごめんね。…そして、これからも…宜しくね」

奈々美は、隣に居る宝沢に手を差し出す。

「奈々美…。…俺こそ…ごめん」

宝沢は、それ以上何も言えずに、そっと奈々美の手を握っただけだった。
そんな二人を優しく見守るむかいん。

「…涼…」
「ん?」
「お前…やはり…」
「やはりって?」
「やくざ…阿山組に入ったって…本当だったんだな…」

宝沢は、むかいんから目を背けるような感じで、寂しく言った。

「あきら…」
「お前が、料理学校を卒業して、勤めはじめた料理店。
 俺は、そこを訪ねた。しかし、お前は、そこの店長と喧嘩をして、
 店を追い出されたって。そして、暴れまくるお前を、阿山組の
 親分さんが、拾ったって…」

目を合わそうとしない宝沢の思いに気付いたむかいんは、

「…その通りだよ。学校時代からの暴れ癖が、料理店でも出てしまってさ。
 折角、働きはじめたというのにな…。俺って、馬鹿だよ」

ちょっぴり寂しげに口を開いた。

「暴れまくる俺を覚えてくれていた人が居た。何度も足を運んで
 下さった…阿山慶造組長だ。俺は、その組長さんに紹介されて、
 隣にある料亭で働きはじめたんだよ。その時に出逢ったのが…」
「あの、女の人なんだな?…阿山真子…確か…現組長さん…」
「あぁ」

むかいんと宝沢は、それ以上、言葉が出ず、ただ、見つめ合っているだけだった。
気まずい雰囲気の中、

「宝沢、勘違いすんなよ」

まさちんが口を挟んできた。

「…???」

まさちんの言葉に、キョトンとしている宝沢。

「こいつは、暴れん坊なだけで、俺のようなやくざじゃない。
 料理長だ。あんたが、知っている向井涼。こいつのこの腕は、
 今は料理をするためだけの腕だ」

まさちん……。

まさちんに腕を掴まれているむかいんは、ゆっくりとまさちんに目をやった。

「ただ、時々、昔の名残が出てくるんだろうな。…さっきみたいにな!」
「料理…するためだけの…腕?」

宝沢は、驚いたように、むかいんを見つめる。
むかいんの表情は、まさちんとは違う輝きを放っている。

「そりゃぁ、暴れた時もあったよ」

そう言いながら、まさちんの手を振り解く。

「だけどな、俺のこの腕を、助けてくれたのが、阿山真子組長なんだ。
 『料理を作るための腕でしょう?』とね。その一言が、俺の何かを
 変えたんだよ。…あの笑顔を守るためにね」

むかいんは、優しく微笑んでいた。
その微笑みを見ているだけで、少しずつ心が和んでいく…そんな感じになる。

「笑顔…か。確かに、阿山真子の笑顔を見ているだけで、
 心が和んだよなぁ」

宝沢は、何かを思いだしたように、呟いた。
真子の笑顔………その真子の笑顔は、ほのかに赤くなっていた。

「…飲み過ぎましたか?」

ぺんこうが、目の前の真子に語りかける。

「大丈夫だよ」
「そのまま、寝込まないでくださいね」
「だから、大丈夫だって。そういうぺんこうの方が、赤いよ」

真子とぺんこう。
お互いの顔は、ほのかに赤い…。二人は、周りをキョロキョロとし始めた。そして、何かに気が付いた。

「ライトのせいか!!」

同時に叫ぶ二人は、またしても笑い合う。

「ねぇ、ぺんこう」
「はい」
「こうして二人っきりになるのって、あの日以来だよね」
「そうですねぇ。二人で、好き勝手過ごせる時って、あの日以来
 ありませんね」
「思い出すよぉ。あの時のぺんこうぅ」
「やめてくださいよぉ」
「照れてる?」
「いいえ、それは、組長の方では?」

真子は、ふくれっ面。

「この二日間、楽しかったですね。こうして組長と楽しく過ごす時間って
 ほとんどありませんでしたから」
「ぺんこうも、こういう遊園地って、行かないでしょ?」
「いいえ、生徒達と時々遊びに行きますよ」
「えっ?! 何それ」
「色々なところに行きましたよ」

思い出し笑いをするぺんこう。

「…私の時、そんなん、なかったやん…」
「あれ? 徳田たちとは、よく行きましたよ」
「ほんま!? なんで、私…」
「組長は、組の仕事に、それと、入退院を繰り返してましたから、
 徳田達は、遠慮していたんですよ」
「ということは、私の正体がばれた後?」

ぺんこうは、そっと頷き、グラスに手を伸ばした。

「裏の世界で忙しいのに、これ以上、真北を疲れさせたらあかん!ってね。
 私が怒られたんですから」
「知らんかった…。みんなの知らない一面…発見した…」

真子は、しみじみと言う。

「理子ちゃんは、組長に遠慮して、行かなかったんですよ」
「…なんで、もっと早めに言ってくれへんかったんよぉ」
「すみません……」
「でも…」
「はい?」
「……ありがとう。楽しい日々を送れたのも、ぺんこうのおかげ。
 感謝してる…。このお礼は、どうしたら、いいのかなぁ」

真子は、少し恥ずかしそうに俯きながら、呟いた。

「それは、反対ですよ。私がお礼をした…それだけです」
「お礼した?」
「えぇ。組長は、この私に、教職の道を薦めて下さいました。
 そのお礼です」

凛とした表情で言うぺんこうに、真子は慌てたように応える。

「…お礼は、…私がしないと…。だって、いっつも、勇気をくれる…」
「約束ですから。…組長との約束、たくさんありますね。
 きちんと守っている約束、あまり、ありませんねぇ。
 どうしてですか?」

ぺんこうは、雰囲気を変えるような感じで真子に尋ねた。

「…ごめん…。ちゃんと守ってるつもりなんだけどなぁ」

真子は恐縮そうに、首を縮める。
そんな真子の頭を、ぺんこうは優しく撫でていた。

「きちんと守ってますよ。私の大切な教え子です。とても優秀な…」
「……教え子…だけ?」

真子は、上目遣いでぺんこうを見た。ぺんこうは、慌てて真子の頭から手を離し、目を反らす。

「…ですから…その雰囲気だけは…止めて下さい。でないと…本当に…」
『本当に…その後はぁ〜?!』

少し離れた席から声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声にゆっくりと振り返る真子とぺんこうは、驚いて立ち上がる。

「ま、ま、っままままっま…真北さん!!!!!」

二人の見つめる先には、くまはちに羽交い締めされている真北が、鬼の形相で、睨んでいた……。

い、いつの間に、店に……?!??





ランド近くのホテルの裏口。
ランド内で働く人達専用のホテルの裏口に、立ちつくす四人。
つい先程まで、色々な事があった四人は、何話すことなく、ここまで歩いてきた。念のため、ホテル前まで、まさちんとむかいんは、二人を見送りに来ていた。

「…涼…」

宝沢が静かに呼ぶ。

「何?」

あっけらかんとした感じで、むかいんが返事をした。

「…ごめんな…変なこと言って…」
「何か言ったか?」
「お前が、やくざ…だって…」
「気にするなって。…こんな俺だけど、…これからも、付き合ってくれる…か?」
「もちろんだよ。こんな劇的な再会、滅多にないから、嬉しいよ!」

宝沢の笑顔が輝いた。

「……あきら……」
「俺こそ、よろしく!」

宝沢は、むかいんに手を差し出す。むかいんは、その手をそっと掴み、握りしめた。

「なるほどな。あの頃の手じゃないな」

宝沢は、むかいんの手をしみじみと見つめる。

「なんだよ!」

むかいんは、慌てて手を離した。

「料理するためだけに使われている手だよ」

宝沢は、微笑み、付け加えた。

「俺も、涼の笑顔を見習わないとなぁ〜」
「…そんなことないさ。あきらの笑顔…素敵だよ」
「ありがと」
「ほな。ホテルに戻るよ。これ以上遅くなったら、心配するからね。
 お休み。今日は楽しかったよ。またな!」
「あぁ。その…真子ちゃんに、よろしく!」
「喧嘩すんなよ!!」

むかいんは、見送る宝沢をからかうように言いながら、まさちんと去っていく。

「…やくざに…見えないよね、地島さんって」

奈々美が、突然口走った。

「そうか? 俺には、やくざそのものって感じに見えたけどなぁ。
 お前、やっぱり、人を見る目がないなぁ」
「うるさいなぁ。まった、それを言うんだからぁ。ほんとに別に男作るよ!」
「それだけは、ご勘弁をぉ!!!」
「地島さんがね、初めて声を掛けてきた時…、お店、予約できるかって。
 その時の笑顔が、すっごく、素敵だったから…だから、私…」
「奈々美」

宝沢が低い声で呼ぶ。

「は、はい」
「もう、何も言うな。そして、他の男を追いかけないでくれ」
「あ、あきら…。……うん」

奈々美は、静かに返事をする。そして、二人は、抱き合った。

「大阪に行った時、涼さんのお店、行こうね」
「そうだな。あいつ、俺より、凄腕だから」
「本当かどうか。私が、判断して上げる!」

そんな話をしながら、宝沢と奈々美が、仲むつまじくホテルの玄関をくぐっていった頃…恐ろしいまでの雰囲気に、手を妬く二人が居た…。



「くまはちぃ、引き離せって!!」
「む、無理ですぅ〜。火の粉かぶる前に…逃げた方が…」
「あかん…って」
「ですから…」

スペシャルルームへ戻ってきた真子達。
部屋に入った途端、真北がぺんこうの胸ぐらを掴み上げ、恐ろしいまでの形相で睨み上げた。そんな真北を停めようとするくまはちと真子。

「正直に…言ってみろ…。一体、何があるんだよ…」
「…言えませんね」
「反抗的やないか…」

今にも拳が…という時だった。
真北の携帯が鳴った。
真北は、ぺんこうから、手を離し、睨みながら電話の電源を入れた。

「なんや? ……わかった、すぐ行く」

真北は、電源を切り、急いで服を着替える。

「組長、就寝時間、とっくに過ぎてますよ。明日もはしゃぐんですから、
 すぐに寝て下さい」
「はぁい」
「私は、急ぎの用事ができましたので、明け方まで戻れないと思います」
「…仕事ぉ? 真北さん、休暇取ったって言ってたのになぁ。嘘つきぃ」

真子は、ふくれっ面になっていた。

「そ、それは…。その…」

真子のふくれっ面に焦る真北。

「仕方ありませんよ。ランドの近くで、九名、真っ赤になって倒れているそうです」

その言葉で、真子は嫌な予感が…。

「…ま、まさか…ねぇ」
「そのまさか…なんですよ…。それを今から…。ぺんこう、くまはち」
「はい」

返事をしたのは、くまはちだけだった。

「……まさちんが、帰ってきたら、事情を聞いて、後で報告よろしく」
「わかりました」

真北は、そう言って、部屋を出ていった。

「ぺんこう〜」

それは、くまはちだった。

「うるさいなぁ。…組長、そろそろ…って、なんでここで寝てるんですかぁ!!!」

真北が部屋を出るまで起きていたはずの真子は、ソファで、寝入っていた。

「ったくぅ」

ぺんこうは、真子を抱きかかえ、寝室へと入っていく。
寝室は、昨夜と違い、ベッドが一つ増えていた。しかも、三つと一つに区切られている…。
もちろん、真子が寝る場所は、一つに区切られている場所だろう。ぺんこうは、そこへ真子を運び、寝かしつけた。その途端、服を掴まれる。

「…組長?」
「…子守歌…唄ってよぉ」

寝ぼけ眼でそういう真子。

「酔ってますね?」
「酔ってないぃ。ねぇ、唄ってよぉ」
「寝付くまでですよ」

ぺんこうは、ベッドに腰を掛け、唄おうとした…が…。

「駄目ですよ」
「真北さん、居ないでしょ?」
「くまはち、居ますよ。それに、二人も帰ってくるでしょう」
「やだぁ」
「…うわぁ!!!」

真子は、本当に酔っていた…。
ぺんこうの襟首を掴んで、自分の隣に寝るように引き寄せた。その力は、ぺんこうの想像を遙かに超えている…。

「ったくぅ」

諦めたぺんこうは、真子の横に寝転び、真子が幼い頃によく唄った子守歌を歌い始めた。

「…懐かしい…ね…」

真子は、嬉しそうに微笑みながら、目を瞑り、眠りはじめる。それでもぺんこうは、真子の寝顔を見ながら、唄い続けていた。




「………」
「…懐かしい光景やなぁ」
「…ほっとこか」

それは、ひと暴れして戻ってきたまさちん、むかいん、そして、くまはちの三人だった。
二人が帰ってきて、かなり、騒ぎ立てているにも関わらず、寝室から出てこないぺんこうが気になった三人は、そっと寝室を覗き込んだ。
真子に子守歌を歌っていたはずのぺんこうは、そのまま、真子の隣で寝入ってしまった様子。

「朝まで、戻ってこないことを祈るよ」

まさちんが、呟いた。そして、三人は、ソファに座り込み、ランド近くでの出来事を全て話し始めた。


熟睡中の真子とぺんこう。
真子が、ぺんこうの胸に顔を埋めるような感じで寝返りを打った。
ぺんこうの腕が、自然と真子を優しく包み込んだのはいうまでもない…。
そんな状況になってしまっているとは、知らない真北は、真夜中にも関わらず、仕事に没頭していた。
…何かを忘れたいかのように…。




真北は、ランド最寄り駅近くの商店街で辺りの様子を伺っていた。私服刑事達も集まり、何かを探っている様子。その中の一人・原が、真北に駆け寄ってくる。

「他に被害は無いようです」
「そうやろな。怪我の様子から考えると、やったのは、あいつだけやな」

真北は、頭を掻いていた。

「…明日は、土産屋だけと言ってたけど、どうなってる?」
「午前中なら、客足は少ないそうですので、真子ちゃんの行く場所
 行く場所、埋め尽くすことになりますが…」
「…逃げ場くらい確保はしとけよ…」
「……………。…そうですね…」
「ったく」

真北は、ホテルの方を見つめていた。




スペシャルルーム・寝室。
真子とぺんこうは、同じ布団の中で眠っていた。
真子が、寝返りを打ち、上を向いた。その動きで、ぺんこうは、目を覚ます。

「…俺まで寝入ってしまったか…。慣れないことが続くから、疲れたかな」

ぺんこうは、呟きながら、体を少し起こし、真子の寝顔を見つめていた。

「あの人が眠れなかったのも、解るよ…。俺だって…」

ぺんこうは、真子の頭を撫でながら、優しい眼差しで、微笑んでいた。
手が停まる。
ぺんこうは、何を思っているのか、ゆっくりと真子に顔を近づけていった。

「!!?!!??!! うわっ!!」

ドサッ!

ぺんこうは、突然、何かに襟首を引っ張られ、ベッドから引きずり下ろされた。

「お前の気持ち知ってる俺でも、それだけは、許せないな…」
「む、むかいん……」

ぺんこうは、目の前に居る人物・むかいんを見て、なぜか焦る。それは、直ぐに安心したものへと変わっていた…。

「ありがと、停めてくれて」
「久しぶりやけどな」
「あぁ」

ぺんこうは、立ち上がり、服を整えた。
背後に何かを感じ、振り返る。

「!!!!!」
「何やった?」

まさちんが、ぺんこうに向けて蹴りを入れようとしていた。もちろん、見事に阻止したぺんこう。

「何もしてない。添い寝してただけやろ」
「…にしては、むかいんが、怒ってるけどなぁ」
「気のせい…だろ?」

睨み合う二人。

「…どしたん、二人して…」
「組長、起こして……!!!!」

真子が騒ぎで目を覚ましてしまった。自分の側には、ぺんこうだけでなく、むかいん、まさちん、くまはちが、集まっている事に驚いている様子…だが、それ以上に、驚いて、真子から目を反らしている、むかいん、まさちん、そして、くまはち。

「組長!! その姿…」

ぺんこうが、慌てて言った。

「えっ、何…………きゃっ!」

真子は、浴衣を着たまま寝てしまい、何度か寝返りを打った時点で、浴衣がはだけ…。それに気が付かずに起き上がったものだから、胸元セクシー……。
慌てて布団に潜る真子。

「組長、猫パジャマ…」

布団の中から、真子の手がニョキッと出て、ぺんこうが差し出すパジャマを手に取り、布団の中に引っ込んだ。真子が潜る布団がもそもそと動き始める。

「ぷはっ!! …ごめん…」
「い、い、いいえ、…その…はぁ…」

真子を直視できないむかいんとくまはち、そして、まさちん。真子とぺんこうは、微笑み合っていた。

「でぇ〜、何が起こったん?」
「いつものことですよ」

ぺんこうが、言った。

「二人で、仲良く蹴り合い? …ったくぅ、夜中なんだから、
 ゆっくりと眠れないん?」
「寝に来たら、ぺんこうが、むかいんにベッドから引きずり下ろされて
 いたんですから…何が遭ったのかと気になっただけですよ」

まさちんは、少しふてくされながら、言った。

「久しぶりに、ぺんこうに子守歌を歌ってもらってただけやん」
「すみません…私、そのまま寝入ってしまったようです…」
「昔っからそうやったやん、なぁ、むかいん、くまはち」
「えぇ、…そうですけど…」

むかいんとくまはちは、少し困ったように返事をする。

「昔と今では…」

むかいんは、付け加えた。

「…だぁかぁらぁ…俺はぁ…!!!!」
「うるせぇ!!」

バッ!!

胸ぐらをつかみ合うまさちんとぺんこうは、額をくっつけ合っていた。

「…悔しかったら、そうしてみろよ…」

ぺんこうは、まさちんにボソッと言った。

「な、何ぃ〜!」
「むかいん、くまはち、二人を引き離して!!早く!!」
「は、はい!!」

むかいんは、ぺんこうの、くまはちは、まさちんの両手首を後ろから掴み、お互いを引き離した。しかし、手を離しただけでは、納まらないのがこの二人。もちろん、足は自由…。
まさちんとぺんこうは、睨み合い、同時に足を振り上げた。

「駄目!!!!! …!???」

ドサッ! ドッ、ドッ…。

「げっ!?!!!」
「ひぃっ!!」

蹴った感触があった二人、そして、二人を引き離した二人。四人の目は、驚きのあまり、見開かれていた。

「…あ…の…な…ぁ〜……ええ加減に…せ…え…よ…」
「真北さん!!!!!!!」

まさちんとぺんこうが蹴ったのは、ちょうど部屋へ戻ってきた真北だった。
寝室の騒ぎが気になり、入ってきた矢先、真北は二人の蹴り合いを停めようとしていた真子に気づき、二人から守るようにベッドへ押した直後、 ぺんこうから腹部、まさちんからは背中に蹴りを入れられてしまった。
小さなガッツポーズをとるまさちんとぺんこう。
あまりの痛さにその場に座り込む真北。
真子は、心配のあまり、ベッドから落ちる感じで、真北に近寄る。
小さなガッツポーズに気が付いた真子は、まさちんとぺんこうの腹部に拳をお見舞い。

「くまはち、湿布!!!」
「は、はい」

くまはちは、急いで寝室を出ていき、手に湿布を持って戻ってきた。

「真北さん、大丈夫??」
「これくらいは…」

苦笑いをする真北だった。



この日の夜も、真北と真子が同じベッドに寝転んでいた。ついたての向こうに用意された三つのベッドには、真子に近い方から、むかいん、ぺんこうとまさちん、くまはちがそれぞれのベッドに寝ていた。またしても、ぺんこうとまさちんは、一緒に寝るハメに……。

「痛みは退いた?」

真子は、隣に寝る真北に尋ねた。

「少しだけですね…」
「ごめんなさい…」
「組長は、悪くありませんよ。悪いのは、あいつらです」

真北の声には、怒りが込められていた。身を縮めるまさちんとぺんこう。

「それにしても、私が割り込まなかったら、組長が…」
「寸前で停めると思ったんだけど…停まらなかったね」
「あいつら、俺に気が付いていたんでしょうね。ったく…許さん」

益々身を縮める二人……。
真子は、布団の中でもそもそとし始める。

「組長?」

思わず身構える真北。

「今夜は、私の魔法の手」

真子は優しく微笑んでいた。

「ありがとうございます」
「原因は?」
「私。…あの後ね、私、ソファで寝入ってしまったようで…。それを
 ぺんこうが、ここまで運んでくれたの。その時に、私…久しぶりに
 ぺんこうの子守歌聴きたくなって…頼んだだけ…」
「昔に良く見られた光景なのに?」
「うん…なのに、目覚めたら、二人がいつもの如く…」
「二人に、訊きましょうね」

真子の手は、真北の背中を優しく撫でている。

「組長」
「はい」
「…あいつと、何かあるんですか?」
「えっ?」
「二人の雰囲気が、何となく…」
「何もないよ」
「本当のこと…言ってください。…私にこれ以上、隠し事は…」

真北は、体を起こした。

「いてて…」
「真北さん、駄目だよぉ」
「…組長…」

真北は、真剣な眼差しで真子を見つめた。真子は、真北のその目に弱い…。
目を背け、呟くように言った。

「隠し事なんて…」
「先日、言いましたよね。私に隠し事しないようにと」
「うん…。だけど……」

真北は、枕に頭を付け、上を見つめる。
その時だった。

「!!!!!!!」

真北の目は、見開かれていた。
なんと、真子が、真北に口づけをしていた。
真子の唇が、ゆっくりと離れていく。

「ま……真子ちゃん……」
「これを教わっただけ…」
「あいつに…ですか?」
「うん」
「それ以上…は?」
「教えてくれなかった」
「当たり前です。そんなこと、あったら、私が許してません」
「これは、いいの?」

真子は、無邪気な顔で真北に尋ねてくる。

「無邪気な顔で…そう言われると……」

真北は、真子から目を反らすように天井を見つめた。その時、体の異変に気が付いた。

「ったく…。あいつは…」
「怒らないでね。私が強引にお願いしたことだから」
「それでも…。ったく、最近、不穏な空気が流れすぎですよ。
 まさちんといい、くまはちといい…。むかいんは、兎も角、
 ぺんこうまで…。それに、水木の野郎も…」
「真北さん、それ、誰に訊いたん?」
「水木本人ですよ。どうすればいいのかと相談してきましたよ」

怒気がはらんでいた。

「…私が…悪いんだね」
「真子ちゃん…??」
「歳も考えず、自分の体の事も、考えずに行動してるから…。
 みんなを惑わしてるのかな…」
「そんなこと、ありませんよ。あるとしたら、私達、男の問題です」
「今も、こうして、真北さんと一緒に寝てるのに…?」
「親子が一緒に寝て、何が悪いんですか?」
「でも…」

真子は、それ以上、何も言わなかった。真北は、真子に振り返る。
真子は、眠っていた。

「…ったく、自覚しているのか、いないのか…」

真北は、優しく微笑み、真子の髪を掻き上げ、額に軽く口づけをする。

「突然だと、驚きますよ」

真子の寝顔をじっくりと堪能し、布団から出てきた。
真子に布団をかけ直し、ベッドから離れていく。そして、ぺんこうの側を通るとき、ドスを利かせた声で、

「芯…来い」

と言った。
ぺんこうは、真北の声に反応するように、体を起こす。そして、軽くため息を付いてから、ベッドを下り、寝室を出ていった。
ドアのすぐそこに、真北が立っていた。真北は、ぺんこうの姿を見た途端、腕を掴み、ソファに放り投げるように座らせた。

「お前…真子ちゃんに、口づけ以外に、何を教えた?」

真北は、静かに尋ねた。

「何も…」
「本当か?」
「本当ですよ。思いとどまりましたから」
「留まった?」

ぺんこうの言葉に疑問を抱く真北。
ぺんこうの言葉によっては、修羅場になりそうな予感……。
寝室に残ったまさちんとくまはち、そして、むかいんが、ドアにピッタリと耳を付けた。
何かが起こる、そんな雰囲気が、ドアの向こうから伝わってくる……。





ぺんこうは、深くため息を付いて、静かに語りはじめた。

「組長が、男と女の関係について、気になりだしたのは、
 高校を卒業されてからです。恐らく、友達の間で
 そのような話が出ていたんでしょう。大学生の頃、時々、
 尋ねられましたから。男性は、女性をどう思っているのか…ってね」
「どう応えた?」
「反対に、尋ねましたよ。組長は、女性ですが、男性をどう思っているのか」
「お前のパターンやな」
「組長の答えは、『よく解らない』でした。恐らく、幼い頃から、周りには
 私達、男性陣ばかりでしたから、恋心は芽生えなかったのでしょう」
「確かに…な」

真北は、口を尖らせた。

「そんな組長が、その事に、不安にかられはじめたのは、桜島組に
 拉致された後です」
「あの時は、お前の言葉で、立ち直ったんじゃなかったのか?」
「一時でした。あなたなら、御存知でしょう、サイボーグ麻薬の後遺症」
「一番、気になることが、後から不安となって…蘇る…」
「その通りでした。あなたとまさちん、くまはちは、その事件のことで海外へ
 そして、むかいんは、次の日のパーティーの仕込みで、家を留守にして
 私と二人っきりになった時ですよ」

ぺんこうは、続けた。

「恐らく、いつも騒がしい家の中のあまりの静けさに不安が
 蘇ったんでしょう。私の部屋へやって来て、こう質問されました。
 『男と女の関係を教えて』
 私は、それは、教えることできないと応えましたよ。でも、納得して
 いただけなかった。
 『家庭教師だろう? 組長命令だ!』
 とね…。思いも寄らない言葉に、私は、気になりました」

ぺんこうの目線は、寝室に向けられた。

「よく見ると、そう言った組長…何故か、震えてました。
 事情を訊いたら、不安だと…。自分が知らない人に、
 そのような事をされると不安でたまらないと…」
「それで、お前…真子ちゃんを…?」

真北の体は、怒りと驚きに震えていた。

「いつものように、胸を貸して、抱きしめただけです。だけど、その時は
 それだけでは、納まらなかったんです。私は、そのまま、組長を抱きかかえて
 ベッドに寝かしつけました。組長は、離してくれません…。組長に
 尋ねました。『私で、いいんですか…?』と」

真北は、ゆっくりとぺんこうに目線を移した。

「組長は、頷いた。私は、震えが停まらない組長を優しく抱きしめて
 そして、そっと口づけをしました。その瞬間、組長の震えは停まった…」

ぺんこうは、伏し目がちになりながら、話を続ける。

「しかし、私は、それ以上、できませんでした。…あなたに相談したように、
 私は、組長のこと、好きです。あなたが、目の中に入れても痛くないくらい
 かわいがっている組長を奪いたい…そう思っていました。あなたに……」

ぺんこうは、口を噤んだ。

「お前が、真子ちゃんを女性として見始めたことは、覚えているよ。
 しかし、それは、解決したんだろう?」
「えぇ。ですから、私は、組長に、こういいました。
 『女性として、大切なものは、本当に好きな人のためにとっておくもの』
 …あなたの投げ売りですけどね…」
「真子ちゃんは、お前のこと…」
「俺よりも、大切な者が居ることくらい、解りますよ」
「納得したのか?」
「解りません。その時に、震えが停まり、不安が取り除かれたくらいしか
 解りませんでした。その後、もう一度、口づけをせがまれまして…」
「…それで、あの口づけか…。どうりで懐かしいわけだ」
「はぁ??」
「ん? …なんでもない」

真北は、何かを誤魔化した。

「そして、約束したんです。私に抱かれたいのでしたら、組長の信念を
 貫いて下さいと。新たな世界を立派に築き上げたら、私は、組長を
 女性として、抱きましょうと…。それまでは、教え子です」
「…ったく、俺に内緒で変な約束しやがって…」
「あなたには、言えないことでしょう?」
「そうやな」

真北は、ソファにドカッともたれかかった。

「お前も、ほんま、真面目なやっちゃなぁ。そのまま抱けばよかったやろ?
 まさちんもくまはちも、捌け(はけ)よったしな。お前、いつからや?」
「…あなたの言葉とも思えない…」

真北の本来の姿を、ぺんこうは知らない??

「たまには、ええやろ」
「そう言うあなたは?」
「言えんな」
「私も言えませんね。でも、これだけは言えますよ」
「なんや?」
「私は、教師ですよ。そんなことばかり考えていたら、禁断の世界に
 踏み込んでしまいますから。…そんな気持ち、教職に就いた時点で
 捨ててますから。…いいえ、あなたに組長に対する気持ちを打ち明けた
 あの時点から…と言った方が、正解ですね」
「そうかぁ。残念やなぁ。お前やったら、許せるんやけどなぁ」
「…そうやって、挑発するところ…組長の性格は、あなたそっくりですね」

ぺんこうの言い方は刺々しい。

「なんか、一言一言が、ちくちく刺さるけど……ほんまのことや」
「そう言うあなたは、どうなんですか?」
「だから、言ったろ? 真子ちゃんとは、恋人同士だって」
「からかわないでください」

ぺんこうは、立ち上がった。

「話は終わってへんぞ」
「眠いんですから」
「そうカリカリすんなって」
「カリカリしますよ」

そう言いながらも、ぺんこうは、ソファに腰をおろす。

「お前らも、出てこいや」

真北の言葉に、ドアの向こうで聞き耳を立てていたまさちん、くまはちが、出てきた。むかいんは、いつの間にか寝入っていた。

「本来なら、むかいんにも言っておきたい事だけど、あいつは大丈夫やろ」

真北は、真剣な眼差しで、三人を見つめた。

「お前らの、真子ちゃんに対する気持ちを訊きたい。ぺんこうからは今聞いた。
 正直に言えよ。くまはち」
「私は、組長を守る義務があります。そりゃぁ、笑顔に参る事もありますが、
 恋愛感情は、湧きません。…許されないことですから」
「まさちんは?」
「組長には、自分の一生を捧げておりますから」
「恋愛感情は?」
「それは、俺にも、ようわからんのです」
「自分のことなのにか?」
「はい。出逢った頃の組長は、子供なのに、子供らしさが全くなく、
 大人びていたのに、最近の組長は、年齢も体も大人なのに、
 大人らしさがなく…子供子供しているんで…」
「それもそうだな…。ぺんこう、何か聞いてるのか?」
「組長自身も気にしておられるだけですよ。大人の女性を見せると、恐らく
 みんなを惑わしてしまうから…。だから、子供っぽさを見せているんです」

ぺんこうの言葉に、真北は、ため息を付いて、項垂れる。

「そこまで、真子ちゃんに…気を使わせてしまったか…。くつろいでいるようで
 くつろいでいないんだな…。困ったもんだよ…」
「あなたが、そのように、育てたんでしょう?」
「…あのなぁ、真子ちゃんの教育は、お前も、まさちんも、くまはちも、
 そして、むかいんも、関わってるだろがぁ!」

真北の言葉に、一同、同感…。

確かに……。

「これから、どうしようか…」

真北が言った途端、沈黙が続く。

「今のままで、よろしいかと…」

くまはちが、ゆっくりと応えた。

「今のまま?」

真北は、くまはちの言葉に疑問を抱く。

「はい。私達のことを考えて下さる…それが、私達がお仕えする
 阿山真子様ですから。それに負けないようにお応えすることで
 よろしいんじゃないかと…。まさちんの素性を知っていながら、
 改心させようとしていた。真北さんの悩みを解決させようと
 努力しておられる。そして、ぺんこうの夢まで、実現させた。
 むかいんの腕を正しい使い道へと導いた。それと…、
 こんな私のことでさえ…」

くまはちが、いつになく、長く語り出す。

「例え、組長が、誰かに体を許したとしても、それは、組長の意志です。
 それに、そのことは、将来、考えなければならないことでしょう?」
「あぁ。そうだよな」

真北が、素っ気なく応えた。

「ぺんこうとの約束が果たされて、そうなったとしても、文句は言えません。
 組長は、ご自分で考えて、行動する事が出来る、そんな年齢なんですから」
「くまはち……」

真北が、小声で言った。

「…私、言い過ぎましたね…」

くまはちは恐縮そうに応える。

「いいや、ありがとな。お前の言うとおりだよ。…だけどな……」

真北は、一呼吸置いた、そして…。

「こいつとだけは、許さん!!!」

真北とぺんこうは、同時に叫び、同じ人物を指差していた。
息ぴったり……。
指を差されているのは、当然の如く……。

「手、出しませんよぉ。出せませんからぁ〜」

まさちんだった。

「いいや、信用ならん!」

真北が、腕を組みながら、まさちんを睨み付ける。

「我慢できん男やからなぁ」

ぺんこうは、疑いの眼でまさちんを見つめていた。

「断りきれずに、桜姐さんと…なぁ。それも何度も…なぁ」
「くまはちぃ、言えた義理かぁ? お前も寝たやろぉ!」
「俺は、あの日だけや」
「しゃぁないやろぉ。姐さんの誘い、断れなくなってだなぁ」

何故か焦るまさちん。

「く、組長に、言うなよ!」
「真子ちゃんは、知ってるよ」
「げっ?!?!! …それで、再び、冷たいんか…なぁ…」
「自業自得!」

真北、ぺんこう、くまはちは、同時に言った。

「そんなん、言わんでも…声を揃えて…」

まさちんは、項垂れる。


寝室。

当の本人は、熟睡中ですよぉ〜。

むかいんは、起きていた。
ついたての向こうで眠る真子を見つめながら、真北たちの会話を耳にして、そっと微笑む。

「親バカ…。あの二人にはぴったりの言葉ですね。
 それに…私だって、組長のこと……」

むかいんは、自分の両手を見つめていた。

「感謝してます。…そして、これからも、頑張ります」

グッと握りしめられた拳。
その拳から、真子への感謝の気持ちが現れる。

そして、むかいんは、スゥッと眠りに就いた。



(2006.4.20 第四部 第二十話 UP)



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※旧サイト連載期間:2005.6.15 〜 2006.8.30


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