任侠ファンタジー(?)小説・組員サイド任侠物語
『光と笑顔の新た世界〜真子を支える男達の心と絆〜

第四部 『新たな世界』
大人の世界の話が含まれます。
お子ちゃまには、まだ早いですよぉ〜!!


第三十二話 真子と水木の勝負1

1日目・朝
真子とまさちんは、水木の店を出て、車で帰路に就く。
まさちんの車の中で、後部座席に座る真子は、ため息を付く。
耳に残る水木の言葉…。

『ええか、誰にも悟られるなよ。たったの10日や…』

「組長、飲み過ぎましたか?」

まさちんは、一点を見つめたまま、考え事をしている真子を見て、優しく声を掛けた。

「ん? …寝不足なだけ。水木さんもだろうなぁ。朝まで一緒に
 語り合ってたからぁ。…熟睡中のまさちんをほったらかして」
「すみません…水木さんがおられると、気が緩んでしまうようで…。
 以後、気を付けます」
「いいよぉ、気にするなよぉ。…それより、約二週間ほど、水木さんと
 行動することが多くなるけど、まさちんには、その間、組関係を
 お願いしてていいかなぁ」
「…何を?」
「AYAMAと…桜さんの件…」
「…わかりました。決して無茶はなさらないでくださいね」
「うん…ありがと」

まさちんの優しい言葉が、真子の胸に突き刺さる。
真子は、俯く。

「自宅に到着するまで、お休みください。むかいんにも言っておきますよ」
「…くまはち…」
「ん?」
「くまはちには、本部の方で調べてもらいたいことがあるから、組関係は
 まさちんが一人で…ってことになるんやけど…大丈夫? それを考えたら
 すごく心配で…」
「大丈夫です。任せて下さい!」
「…心配…だなぁ」

真子は、呟きながら、眠り始めた。

「ったく」

まさちんは、微笑んでいた。



朝10時。
自宅に戻って、すぐにビルへと向かった真子は、組関係の書類に目を通し終え、まさちんに手渡す。

「幹部会は、11時だっけ」
「はい」

まさちんは、真子を見つめた。

「まさちん、二日酔いちゃうん?」
「それは、組長の方じゃありませんか?」

ドカッ!

真子の蹴りが、まさちんに入る。

「すみません…。では、書類の方は、会議の時に渡します。
 AYAMAの方は、午後からに致しますか?」
「そだね。くまはちは?」
「こちらに向かってます」

真子は、一点を見つめて、何かを考え始める。

「組長?」

真子が、いつもと違う。
そう思うまさちんだが、何も言えないで居た。




須藤組組事務所・応接室。

「お前とちゃうんか」

須藤が、なぜか、残念そうに言った。

「うるさいなぁ」

まさちんが嫌そうに応える。

「で、相手は誰や?」
「……知らん」
「聞かれへんわなぁ、誰と…なんてな。早めに手ぇ出さへんからやで」
「……出せるわけないやろぉ!!」

まさちんは、テーブルの上の箱から、何かを取りだし、口にくわえる。そして、火を付けた。

「俺は停めんで」
「……ぶん…殴るぞ…」

まさちんは、鋭い目つきで須藤を見上げる。

「…それは、ごめんやな」

須藤は、微笑んでいた。

「一平やないよな」
「…なんで? 真面目な青年が」
「お前にも、そう映ってるんやな」
「ほへ?!」
「一平、中学ん時やで、初体験」
「俺と一緒かい」
「…そうかぁ。…で、一平な、あれでも悪かったんやぞ。俺の息子やからな。
 そやけど、組長と出会ってから、俺ら親子は変わったからなぁ」
「一平くんと違いますよ」
「…お前、相手知ってるな?」

まさちんは、敢えて応えなかった。
タバコを消し、立ち上がる。

「組長が戻った」
「そや、ちょぉ待ってんか」
「ん?」
「組長に渡して欲しい書類があるんやけど…おーい、よしのぉ、まだかぁ?」
『あと少しです』
「つーことで、あと2本くらい大丈夫やろ」

まさちんは、タバコに手を伸ばす。




真子は少し疲れを見せながらも、組関係の書類に目を通し、AYAMAの仕事へと移っていった。
水木を混ぜての検討会。
それが終わった後、水木は真子の事務所に脚を運んだ。
水木は、ソファに腰を掛ける。
真子は、書類を分けながら、デスクに向かって仕事の調子で水木に話しかけていた。

「そうやねぇ、後は、これくらいかな。水木さんは、どう思う?」

水木は、ゆっくりと真子に歩み寄り、真子を後ろから抱きしめる。

「み、水木さん!!」
「拒むなよぉ」

真子を抱きしめるその手で、真子の服の下から手を入れる。

「仕事中だよ」
「…感情が高ぶった時…言うたよなぁ」

水木は、真子の耳元でそっと呟く。真子は、その言葉に反応し、口を一文字にし、目を瞑った。
真子の体の向きを自分の方へ向かせた水木は、真子に激しく口づけをする。そして、そのまま、真子をデスクに押し倒し、服の上から、真子の体をなで回していた。
少し嫌がる真子。

「だ、駄目!!」

水木は、真子の言葉が聞こえていない。
真子の胸元に顔を埋め、ブラウスの下からボタンを外していく。
ふと、水木の視界の隅に、奥の部屋のドアが映った。
水木は、にやりと笑った後、真子を抱きかかえ、奥の部屋へ入っていった。
ベッドに放り投げる感じで真子を離し、服を脱ぎ始める。上半身裸になった水木は、ベッドに横たわる真子のブラウスをはぎ取り、自分の肌を触れさせる。
真子は、水木の体温を感じながら、身を任せた…。
真子が着ていた服が、床に落ちる。
水木の着ている物も、真子の落ちた服の上に重なるように落ちた。

『組長!』

真子の事務室に、まさちんの声が聞こえていた。真子の中に入り始めた水木は、その声に反応して、起き上がった。

「ちっ」

水木は、そう言って、急いで服を着る。

「…服を着たら、眠っておけよ」

水木は、真子の服を拾い上げ、真子の上に冷たく放り投げ、部屋を出ていった。

「水木さん、組長は?」
「疲れてたのか? 急に倒れたぞ」
「えっ?」

まさちんは、驚き、奥の部屋へ駆け込んだ。
真子は、眠っていた。

「ありがとうございます、水木さん。仕事の続きは、私が行います」
「書類を片づけるだけらしいが…」
「そうですか」

まさちんは、部屋の戸をそっと閉める。
真子は、目を開けた。そして、そっと起きあがり、服を身につけ始めた。
真子の胸の下辺りに、赤いあざが無数に付いている。それに気付くことなく、真子は、気を失うかのように、ベッドに倒れ込み、眠ってしまった。



夕方になっても、真子は目を覚まさなかった。


まさちんの車が自宅に到着した。まさちんは、真子を抱きかかえ、部屋へ連れていく。布団をそっと掛けた時、真子が目を覚ました。

「…いや!!」

真子は、何かを怖がるかのように、飛び起き、ベッドの隅に身を寄せる。

「組長? どうされました? 怖い夢でも?」
「…ま、まさちんか…。…ごめん。何もない」
「お疲れだったとは、知りませんでした。すみません」
「あ、いや、大丈夫だから」
「組長?」

やはり、いつもの雰囲気と違うと感じた、まさちんは、

「組長、何か、ありました?」

静かに尋ねる。

「何もないよ。ありがとう、ごめん。このまま寝るから」
「服は、着替えてくださいね」
「うん」

まさちんは、優しく微笑んで部屋を出ていった。

「…ふぅぅぅ……」

真子は、ため息を付いて、服も着替えず、そのまま寝入ってしまった。



2日目・朝

「はいぃ???」

まさちんは、突拍子もない声を張り上げ、驚く。

「今日は、AYAMAの参考資料を探すっつーことで、水木さんと
 出掛けるよぉ。だから、その間、組関係よろしくね」
「しかし…」
「夕方には、戻れるかなぁ。直接、自宅に戻るから。ほなねぇ」

真子は、そう言って、事務室を出ていった。

「あの、組長ぅ〜」

延ばしたまさちんの手が、虚しく空を切った……。




水木運転の車の助手席に真子は、座っていた。

「昨日は、中途半端だったからなぁ」
「…事務所は、まずいんじゃない?」
「そうだな。だから、今日は場所を選んだ」
「ホテル…ですか?」
「俺のマンションや」
「水木さんもお持ちだったんですね」
「まぁな。女をゆっくりと抱きたいからね」

水木の車は、少し小高い丘にある高級マンションへと入っていった。
駐車場に車を停めた水木は、ゆっくりとした足取りで降りてきた。そして、助手席のドアを開け、真子を強引に下ろし、ドアを閉めた。
真子の肩を抱きながら、エレベータに乗る。上昇中、水木は、真子に口づけをする。
7階に到着。
マンションの住人が、エレベータを待っていた。ドアが開いても、唇を離さない水木。目だけを、住人に向けた後、そっと唇を離す。

「こんにちは」

水木は、素敵な笑顔で住人に挨拶をした。住人は、見慣れているのか、呆れたような顔をして、会釈をし、エレベータで下りていく。

「いつものことですよ」
「いつも?」
「また女を連れてきた…ってね。…組長が自由に外出できるなら、
 ずっと、閉じこめておきたいんやけどな。厳しいもんなぁ。
 こうして連れ出すのも、やっとやし」

水木は、自分の部屋『703号室』の前に立ち、鍵を開けた。ドアを開け、真子を中へ押し込んだ後、自分も入り、ドアを閉め、鍵を掛ける。

「何か飲みますか?」

靴を脱ぎながら、真子に尋ねる。

「いらない。昼間からは、飲めないでしょ」

真子は、冷たく言い放つ。

「冷たいな」

水木は、短く応えた後、真子を押すように部屋の奥へ案内する。
寝室のドアを開け、真子を押し込む。
真子は、一点を見つめたまま、ベッドの前に立ちつくしていた。

「今日は、自分から脱いでもらいたいね」

ネクタイを弛めながら、真子に言う水木。
真子は、その声に応えるかのようにかのように服を脱ぎ始めた。

「ヒュー」

水木は、喜んだように口笛を吹く。
真子は、水木に背を向けたまま、全裸になった。水木は、シャツを脱ぎ、真子を包むように後ろから抱きしめた。水木の左手が、真子の下半身へ移動する。
真子の体が、少し強張る。

「優しく抱いてやるよ」

真子の顎を持ち上げ、後ろから口づけをする。
この二日、何度か抱かれ、口づけをされている真子は、今までとは違う水木を感じていた。
真子の体の力が、フッと抜けた。
水木は、ベッドに真子を俯せにして、背中に唇を寄せる。
真子の背中を這う水木の唇は、とても柔らかかった。
水木は思うがまま、全く抵抗しない真子を優しく抱いていった……。



真子は、ベッドの上に大の字になって、寝転んでいた。
水木が、アルコールを手に、寝室へ戻ってくる。
アルコールを一口飲み、そして、更に口に含み、真子に近づき、アルコールを口移しに飲ませる。
真子は、口に入れられたアルコールを、飲み込んだ。

「先は長い。体が持たなくなるだろうから、今日はこれで終わりに
 してやるよ。しかし、明日の夜は、一緒に過ごしてもらうで。
 何か都合をつけておけよ」
「……わかった……」

真子は、静かに応えた、そのまま眠ってしまった。

「組長には、濃度が高すぎたかな…」

水木は、そう言って、アルコールを飲み干し、眠る真子を抱き始めた。
真子の体が、上下に動く。
水木の息が荒くなる。
ふと一息ついた水木は、眠る真子を見つめ、そして、呟いた。

「俺…壊れてしまったな…」

水木は、真子に優しく口づけをする。




夕方。
まさちんは、自宅で、真子の帰りを待っていた。
表に車が停まる音が聞こえた。
車が去ると同時に、ドアが開く。

「お疲れさまです」

まさちんは、玄関まで迎えに出るが、真子は疲れた様子。

「…ごめん、寝る」

まさちんの前をゆっくりと通り過ぎる真子から、微かにアルコールの香りがしていた。

昼間っから??

まさちんは、疑問に思った。

「ったく、水木さんは、悪いことしか教えないんだからぁ」

まさちんは、そう言いながら、真子の部屋のドアが閉まる音を確認した後、リビングへ入っていった。




3日目・午後三時

「また、ですかぁ!!!」

まさちんの嘆きの声がAYビル・真子の事務室内に響き渡る。

「そゆこと」
「こないだも、飲み明かしたじゃありませんかぁ」
「…てなことで、まさちん」
「はい」

ドサァ。

「これ、全部まとめといて」
「はいぃぃ?!??!!」

まさちんの前には書類が山積みに…。肩の力を落とすまさちんに、後ろ手に手を振りながら、事務室を出ていった。

「ったくぅ…」

ぶつぶつ言いながらも、書類に手を伸ばすまさちんだった。




『臨時休業』
店のドアにプレートが掲げられていた。もちろん、店の奥の部屋では…。

「はぁ、はぁ……はぁ…。ふぅ〜」

荒い息づかいが聞こえていた。
夕暮れ、水木の店に到着した真子と水木は、裏口から入り、そのまま、ベッドに寝転んだ。
既に三度目を終えた水木は、汗で濡れた真子の背中を見つめていた。
タバコに火を付ける。
煙を何度か吐いた後、真子にタバコを差し出した。
真子は、当然の如く拒む。

「嫌いか?」

真子は、頷く。

「そうやと思った。組長からは、臭いがしないからな。まさちんは吸うだろ?」
「時々…」
「初めて逢った頃は、違っとったよな」
「10年近く、禁煙してた」
「組長が、言ったのか?」
「うん。だけど、あの日…ベッドでふざけ合った後、吸った…」
「ベッドでって、まさちんと、寝たのか?」
「…寝てない。寄り添ってただけ。…押さえ込まれたけど、まさちんは
 留まった」
「俺は、無理だったけどな」

水木は、そう言って、笑っていた。
真子は、手を突いて体を起こす。

「ん?」
「電話する…」
「誰に?」
「まさちん。飲み明かすって言わないと…」
「そんなもん、気にせんでええ」
「疑うよ?」
「疑うもんか。組長には、手を出さない…それは、組員の掟だからな。
 ま、組長から手を出すのは、別だがなぁ」

水木は、真子の肩に手を当て、押し倒す。指には、タバコが挟まれている。それを口にくわえながら、真子に尋ねる。

「酒は覚えた。しかし、たばこと男を知らないなんて、
 この世界では、珍しいで。まぁ、男は、もう少しやろうけど、
 これは、まだやろ。…とことんまで、汚れてみるか?」

水木は、親指と人差し指でタバコを挟み、真子の唇に近づけていく。口を開けさせ、タバコをくわえさせる水木。

「吸ってみろよ」

真子は、首を横に振る。水木は、目で真子に訴えるが、真子は、拒む。

「ったく…」

水木は、真子の口からタバコを取り上げ、一口吸って、灰皿でもみ消した。

「ま、俺は吸うのは、こっちがいいんだがな」

そう言って、水木は、真子の柔らかい胸を掴みあげ、激しく吸い始めた。

「ん……!!!」

真子の脚を勢い良く広げ、水木は膝を押し当てる。細かく動かしていた膝に少し濡れた感触を覚えた水木は、真子を引き下げ、奥へと入っていく…。
水木の腕を力強く、真子が掴んだ。


「次は、俺を責めてみるか?」

水木は、ベッドの上に座っていた。
水木の右脚に真子は俯せになったまま乗っかかっていた。水木の左脚は、真子の脚の間に置かれ、かかとは、真子の濡れた部分に当てられている。
真子は、水木の熱い物を脇腹に感じていた。

「男を喜ばせることも、覚えといた方がええやろな」

水木は、真子の手を持ち、真子の中に何度も入った物に当てる。そして、指を折り畳み、握らせた。

「銜えるという手もあるんだがなぁ…どうする?」

真子は、動かなかった。

「くっくっく…。俺は、責められるよりも、責める方が好きなんや。
 組長には、何も望まんで。……!!!!」

真子の顔が、近づく…。

「せんでええって」

水木は、真子を抱きかかえ、自分の上に乗せるような感じで寝転んだ。

「俺の感情が高ぶる…が条件やろ。組長は受けるだけでええで。
 でもな、他の男と寝る時は、やったれや。…喜ぶでぇ」

そう言って、水木は、脚で真子の体を挟んだ。しかし、真子は、水木の体の上で寝入ってしまう。
水木は時計を観る。
夜11時。

「お休みタイムか…。ったく、これからやぁ、言うのにな」

水木は、起きあがり、真子を隣に寝かしつけた。そして、優しく布団を掛け、ベッドから下りていった。
シャツを羽織り、店への扉を開ける。店にあるアルコールを手に取り、グラスに注ぐ。そして、一気に飲み干した。
グラスを勢い良くテーブルに置く水木。その手は震えていた。

「…くそっ……」

水木は、一呼吸置いた後、ボトルに手を伸ばし、そのまま口へ持っていき、一気に飲み干した。
再び、奥の部屋へと入っていく水木は、真子の隣に体を忍ばせ、真子を抱きしめたまま、眠ってしまった。



水木は、ふと目を覚ます。
腕の中の真子を見つめると、真子は、泣いていた。

「組長?」

真子は、ゆっくりと水木の背中に手を回してくる。そして、水木の胸元に顔を埋め、そのまま眠り始めた。

「なるほどな…。あいつらが、抱きしめる理由はこれか。
 壊れやすいんだな、あんたは。…なのに、なぜ、俺の条件をのんだ?
 そこまで、体を張るほど、大切なのか? …もし、それが、
 まさちんでも、くまはちでも、同じ事をするのか?
 それが…俺でも……」
「…みんな…大切だから…」

真子は呟いた。

「今夜は、終わりか?」

真子が尋ねる。

「もう、朝や」

時計は、朝の5時を廻っていた。

「起きるで」
「…もう少し…このままで…お願い……」

真子は、水木に強く抱きついた。

「組長?」

真子の行動に驚く水木は、それ以上、何もできなかった。



4日目・朝
真子は、水木とAYビルへ向かう。
地下駐車場で真子を待つまさちんは、水木の車を観た途端、駆けだした。

「まさちん。おっはよぉ」
「ったく、こういうのを朝帰りっつーんですよ!!!」

少し怒っているまさちんは、水木を睨む。

「夕べも楽しかったでぇ」

水木は、そう言いながら、車から降りてきた。

「水木さぁん!! 怒られるのは、私なんですから」
「ええやろ。たまには。では、組長、今日もAYAMAですよね」
「うん。10時、事務所に行くから」
「かしこまりましたぁ。試作品をやってますから」

水木は、エレベータに乗ってAYAMA社へ向かう。真子は、少しため息をつきながら、まさちんと一緒に歩いて、一階の受付へと階段を上っていった。
少しふらつく真子。
まさちんが、優しく支えていた。

「遊びすぎです。真北さんに報告しますよ」
「意地悪ぅ」

真子の言葉は、まさちんに通じない。
そして二人は事務室へと向かっていく。


今朝方の事が気になる水木は、感情が高ぶらず、真子と行動を共にするだけだった。
別れ際に、人目を忍んで口づけをする。
その日の夜。
水木は、何かの衝動にかられ、車を走らし、真子の自宅前に停め、真子の部屋辺りを見上げていた。


真子の部屋では、真北が、深刻な顔で真子を見つめていた。

「まさちんから聞きましたよ」
「……もぉ〜。本当に、真北さんに言った……」

真子は、まさちんを睨み付け、膨れっ面になった。

「当たり前です! 朝帰りの理由は?」
「…飲み過ぎました」
「ったく、心配掛けないで下さいね」
「ごめんなさい」
「体調が良くないとか?」
「どうして?」
「素直に謝るので…」

真子は、ふくれっ面になる。真北は、そんな真子の頭をそっと撫で、

「お休みなさいませ」

そう言って、立ち上がる。

「お休み」

部屋を出て行く真北に言って、真子は、寝転んだ。しかし、寝付けずに、朝を迎えてしまう…。


5日目
真子の事務室に水木が顔を出す。

「組長、急ぎの用事が…」

真子は、ゆっくりと立ち上がり、水木と事務所を出ていった。
少し遅れて、まさちんが、真子の事務室へやってくる。

「組長、この書類ですが……って何処に行ったんですかぁ」

まさちんは、廊下に居る須藤組組員に声を掛けた。

「組長でしたら、水木親分と一緒に歩いてましたよ」
「ありがと」

そして、まさちんは、事務室に戻り、書類を整理し始めた。


水木と真子は、AYビルのエレベータに乗っていた。地下駐車場へ向かうエレベータの中で、水木は、真子に軽く口づけをする。
駐車場に着いた水木は、真子の手を強引に引っ張って、自分の車まで歩いてくる。
後部座席のドアを開け、真子を押し込み、自分も乗り込む。

「昨日の分…今日はたっぷり…な」

そう言って水木は、自分の膝の上に真子を跨らすように向かい合って座らせ、唇を寄せる。口づけをしたまま、水木は、真子の胸元に手を運び、ゆっくりとブラウスのボタンを外していく。
真子のブラウスをそっと脱がせる。その手で、背中のフォックを外し、上半身を裸にした。

「はぅぅ…」

水木は、真子の胸にかぶりつき、真子の背中を上からすぅっと指で撫でる。
その手は、真子の下半身へと入っていく。
全裸にされた真子。

「…ほんとに、抵抗しないんだな…」
「そういう条件だからな」
「俺としては、抵抗してもらいたいんだがなぁ。毎日抱きたい…」

水木の手は、容赦なく真子を責め立てる。真子は、何かを我慢するかのように唇を噛みしめ、水木の背中に爪を立てた。
水木は、真子を寝転ばせ、服を脱ぎ始めた。


真子の事が気がかりなのか、まさちんはAYビル内で真子を探し始めた。

何処を探しても、真子の姿は無い。

そういや、水木さんと…。

そう思った途端、地下駐車場へ向かうまさちん。駐車場へ降りてきたまさちんは、

「組長ぅ〜、何処ですかぁ!!」

そう叫んで、ふと車に目をやる。水木の車は停まっていた。

「やっぱり、ビルの中やろな」

まさちんは、ブツブツ言いながら、エレベータに乗った。



「…あいつ、ドジなのか?」
「さぁ…」

真子の上に乗っかかる水木は、とぼける真子を激しく貫く……!!
車が揺れていた…。


『今夜は、寝るなよ』

水木は、真子を解放した時に、そう告げた。
真子は、事務所へ戻っていく。


事務室に戻った真子は、デスクに座り、まさちんがまとめた書類に目を通し始めた。

真子を探し回っていたまさちんが、戻ってくる。そして、そこに真子の姿を見つけた途端、

「組長、いつお戻りに?」

驚いたように尋ねた。

「ビルの探索してただけだよ。ったくぅ。息抜き息抜き!」
「私に黙って行動しないでくださいよぉ。もしもの時に、怒られるのは
 私なんですからぁ」
「ごめんごめん。…あっそだ。今夜は、水木さんの店で飲むよぉ」
「はぁ?? またですか?」

まさちんは、呆れていた。

「また、ってええやんかぁ」
「朝帰りは、真北さんに怒られますよ」
「大丈夫だもぉん。真北さん、三日間出張だから」
「…ったく。悪い子ですね」
「まさちんに言われたくないなぁ」

真子は、微笑んでいた。



そして、夜。
真子は、水木の車に乗っていた。

「昼は、熱かったよなぁ、後ろで」

水木は、ふざけたように言い、運転しながら、真子に手を伸ばす。
信号待ちで、真子に口づけをし、手を下半身に持っていく。

「早く…入りたい…」
「…!!!」

青になり、車が動き出す。
水木は、真子の肩を抱き、自分に引き寄せる。手は、真子の胸元へ、スッと入り、少し尖った部分をいじくりまわし始めた。
真子は、体を強張らせる。
水木は、真子に目線を移し、にやりと微笑んだ。
真子は、何も言わずに、流れる夜のネオンを見つめているだけだった。

「今日でやっと、半分だな。しかし、組長、よく体が持ちますね。
 毎日俺に抱かれる女は、三日で体を壊すんやけどなぁ。
 優しく抱きすぎかなぁ」

水木の車は、水木の店の裏口にある駐車場に入っていった。シャッターが自動で閉まる。
暗がりの中、助手席に座る真子は、シートベルトを外した。その時、座席が倒れ、体に重みを感じた。

「今夜は、ここで…どうや? 珍しいやろて」
「どうぞ」
「そうかいな。ほな、行かせてもらうで」

水木は、一度脱がした記憶がある真子の服をゆっくりとゆっくりと脱がしていく。
真子を押し上げ、膝を立て、脚の間に顔を埋める。
真子の体が、ピクッとする。
その反応に喜ぶ水木は、何度も何度もその部分を責め立てる。

「ああああ……ん……はうぅ!!!」

真子が珍しく声を上げた。

「初めてだなぁ、そんな声を聞くのは」

気をよくしたのか、水木は、更に真子を責め立てていく。

「あうぅ…うう……」

真子の膝が伸びた。その途端、真子は、水木から逃げるような感じで体を動かした。

「逃げるのか?」

真子は、車のドアを開け、外へ飛び出す。しかし、脚に力が入らず、その場に座り込む。車のルームライトで辺りを確認する真子は、水木の視界から消える場所へと這うように逃げていった。
水木が、車から降りてくる。

ガラガラガラガラ……。

真子は、何かにぶつかり、落ちてくる物の下敷きになってしまった。
水木が慌てて、駐車場内の電気をつけた。
真子は、棚にぶつかり、棚から落ちた物の下敷きになっていた。物は軽い物ばかりだった為、真子は、直ぐに体を起こす。
目の前に水木の姿があった。

「!!!!」

真子は、逃げようとしたが、水木に捕まってしまった。

「どうした、急に。今まで逃げるなんてことしなかったろ?」

水木は、真子を押し倒す。
真子は、必死で抵抗していた。
真子の蹴りが、水木の腹部に突き刺さる。
水木は、痛さで真子から手を離してしまった。
真子は、その隙を見て、車に駆け寄り、服を手に取り、身につけた。そして、シャッターのスイッチに手を伸ばした…が、その手を水木に掴まれた。

「もう…嫌だ…。嫌だ…。私は、あんたのおもちゃじゃない!」

真子が叫ぶ。

「そうか…なら、こっちは、仕掛けるまでだな。忘れたか?
 俺の合図で、すぐにでも、ぺんこうを襲うことができるぞ」
「脅迫だよ…」
「桜へ迫ったぺんこうは、脅迫にはならないのか? あ?」

水木の言葉に硬直する真子。
あの日を思い出したのか、真子は微動だにしなかった。そんな真子の服を脱がす水木は、真子が逃げないことを悟ったのか、両手を掴み、半ば引きずるような感じで、駐車場から、店の裏口へと入っていった。
キッチンの横にある扉を開ける。
そこは、お風呂場だった。
真子の体は、少し汚れていた。水木は、シャワーをひねる。
水が、排水溝へ流れ始めた。
シャワーの水を、真子の頭からかける水木。冷たい水を頭からかぶる真子の体は震え始めた。
水木は、真子の両手を掴み、壁に押しつけた。シャワーの水が流れる中で、水木は、真子を激しく抱き始める。力無く座りそうになる真子の脚の間に、膝を割り込ませ、自分の膝の上に真子を座らせる感じで、真子を責め立てる。
二人の体から、湯気が立ち上り始めた。



シャワーの水の中、真子は、水木に支えられて立っていた。

「冷たいシャワーが気持ちいいやろ?」
「…もう…嫌だ…。解放…してくれよ…。体が…ボロボロだ…」
「まだや。今夜は、寝かせへんで」
「…水木さんじゃない…私の知っている…水木さんじゃ…」

震える声で真子が言った。

「これが、俺や。あんたの親父さんと出逢う前の…な」
「えっ?」
「阿山慶造に会う前は、こうやった。…昔の感情が目覚めただけや。
 それを…ぺんこうのように、眠らせてくれよ…な。俺のことは、
 大切に思っていないのか? …五代目……」

水木は、凄く哀しい目で真子を見つめた。

「水木…さん…」

水木は、真子に優しく口づけをする。それは、凄く長かった。


濡れた髪のまま、ベッドに横たわる真子と水木。それを拭くことすらせずに、二人は、抱き合っていた。
その夜、何度も何度も終わっては、真子の中へと入っていく水木。真子は、それを優しく受け入れていた。

5日目で、真子自身の何かが壊れ始めた……。



(2006.5.10 第四部 第三十二話 UP)



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※旧サイト連載期間:2005.6.15 〜 2006.8.30


※この物語は、どちゃん!オリジナルのものです。著作権はどちゃん!にあります。
※物語全てを著者に無断で、何かに掲載及び、使用することは、禁止しています。
※物語は、架空の物語です。物語内の登場人物名、場所、組織等は、実在のものとは全く関係ありません。
※物語内には、過激な表現や残酷な表現、大人の世界の表現があります。
 現実と架空の区別が付かない方、世間一般常識を間違って解釈している方、そして、
 人の痛みがわからない方は、申し訳御座いませんが、お引き取り下さいませ。
※尚、物語で主流となっているような組織団体を支持するものではありません。


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