任侠ファンタジー(?)小説・組員サイド任侠物語
『光と笑顔の新た世界〜真子を支える男達の心と絆〜

第四部 『新たな世界』

第六十話 嵐の前触れ

橋総合病院。
くまはちは、真北の世話をしながら、状況を説明していた。

「ったく、水木は、怒り出すと止まらんからなぁ。…解ってたけどな」
「私は、そちらまで、手が回りません」
「回さんでええ。俺も手は貸さないつもりや。まぁ、貸したくても、
 このままじゃ無理やけどなぁ」
「そんなにひどかったんですか?」
「三発貫通で、出血がひどかっただけやねんけどな。真子ちゃんが、
 天地山に行ったんやったら、暫くここで、ええやろって。
 橋のやろぉ〜」

病室のドアが開く。

「じゃかましい! 俺の気も知らんと…。お前も狙われてるんやろが。
 ここやったら、狙われる心配もないやろがぁ!」

病室に入って来るなり、真北を怒鳴りつける橋。

「あほ! もし、狙われたら、お前らに迷惑掛かるやろて」

真北も負けていないっ!

「お前がここに居ることは、誰にも知れてないんや。大丈夫やって」
「だけどなぁ〜、それでも、気付く輩がおるやろがっ!」
「それでも、ここは安全やっ!」
「信じられんっ!」
「てめぇ〜よく、その口から、そんな言葉が……」

ワナワナと震え出す橋。
その橋に負けじと拳を握りしめる真北。
二人の言い合いは、激しくなっていく…。
流石のくまはちも、口を出せず、ただ、黙って二人を見ているだけだった。
急に二人がくまはちに振り返り、同時に叫ぶ。

「とめんかい!!!」
「できません!!!」

そんなやり取りは、廊下にまで聞こえていた。




AYビル・まさちんの事務室。
電話が鳴った。

「もしもしぃ〜」
『おひさぁ〜』
「って、木原さん。お久しぶりです」

声を聞いただけで、相手が誰なのか解るほど、親しくなっている二人。
そして、木原が何を思って、まさちんに連絡をよこしたのかも…。

「…組長ですか?」

木原が言う前に、まさちんが尋ねた。

『正解ぃ〜。俺、何も言ってないけどなぁ。…仕事中?』
「すみません、今、天地山です。こんな時期ですけど、休養です」
『そうかいな。やっぱし、AYAMAを張り切っていたやろ?』

木原は、真子の行動が解ってるというような感じで、尋ねてきた。

「その通りです。お話でしたら、私がお聞きしますよ」
『ほな、そうするで。真子ちゃんの能力のことをな、調べている
 学者がおるって言ってたやろ』
「お聞きしております」
『その学者がな、真子ちゃんに逢いたいって言ってるんだよ。
 駄目か?』

唐突な話。しかし、まさちんは焦ることなく、

「木原さんが、安全だと思われる人物でしたら、構いませんよ」

そう応えた。

『安全やけどな、ちょっと厄介で…』
「どう厄介なんですか?」

木原の言葉が気になるのか、尋ねる口調が少し変わる。

『しゃべりすぎるんや…うるさいで…』

その言葉で、まさちんはガクッとなった。

「木原さんが、そうおっしゃるくらいなら、すごいんですね」
『でも、すごく明るい人物だよ。外人だけど、片言で日本語も
 話す奴だよ。いつ頃、行ってええかなぁ』
「そうですね……」

まさちんは、真子のスケジュールを見る。

「四月頃なら、大丈夫ですよ」
『そうか。ほな、それくらいに日本に来るように連絡しとくで。
 ほな、よろしくな』
「はい。組長にも伝えておきます」

まさちんは、電話を切る。そして、スケジュール帳の月間の場所に書き込んだ。

『木原さん関係の来客』

まさちんは、何故か、ため息を付いた。




夜・日付が変わりそうな時間帯。
大阪・ミナミは、今夜も賑やかに派手やかに、騒がしかった。
とある店の前に高級車が停まった。そこから降りてきたのは、須藤とよしのだった。

「久しぶりに店、開けたんか」
「そのようですね」

須藤は、店の扉を開けた。

「よぉ」

明るく声を掛けて入っていった須藤。カウンターには、水木と桜が立っていた。

「なんや?」
「水木、冷たい言い方やな。復帰祝いに飲みに来たんや」
「そうかぁ。まぁ、座れや」

水木に指差された場所に座る須藤とよしの。カウンターの後ろの棚に目をやる須藤は、一つのボトルに釘付けになる。

「珍しいボトルやな。猫の形…組長のか?」
「…ん…ま、まぁな…」

水木は、言葉を濁す。

「桜さんも、お元気そうで」
「その節は、ご心配をお掛けしました」

桜は、丁寧に頭を下げる。

「ほな、いつものん、くれ」
「ありがとうございます」

桜は、須藤が言ういつものアルコールを用意し始める。深刻な表情の須藤に水木が尋ねる。

「中国地方の話はやめれよ。俺の仕事やからな。
 あいつら、やっぱし俺が、堕ちたと思ってたよ。
 裏で動いていたとは思ってなかったようでな。
 俺の姿みた途端、ぶっ放してきよったからなぁ」
「そうか。…いただきます」

須藤は、桜の差出すグラスに手を伸ばし、一口飲んだ。桜は、別の客の相手を始める。

「よしのも飲むか?」

水木は、須藤の後ろに突っ立っているよしのに話しかける。

「車ですので、ご遠慮します。ありがとうございます」
「そうか。相変わらずお堅い奴だな」
「お前の組員と一緒にすんな」
「悪かったな」

水木は、アルコールを用意して、桜に差し出す。桜は、別の客に持っていった。暫く、水木の仕事っぷりを見ている須藤。アルコールを飲み干した。

「おかわり…いるか?」
「あれ、くれ」

須藤が指を差すのは、猫のボトル。

「あかん。あれは、組長専用や」
「…来ると思うんか?」
「……もう…来ないだろうな。いいんだよ、それで。…思い出や」

水木は、横目で棚の猫ボトルを見つめる。

「どうする?」
「何がや?」
「…それ」
「置いとくさ」

水木は、何かを考えているような感じで、一点を見つめながら、グラスを手に持った。

ガチャン!

「!!!…あんた、大丈夫か?」

水木が手にしたグラスを落として、割ってしまったことに驚いた桜が、慌てて駆け寄る。

「…ん…あ、…あぁ。大丈夫だ。滑っただけや」
「…また、考えてたんか?」

桜の言葉に、水木は、自分の手を見つめ、スゥッと奥の部屋へ入っていった。心配そうに水木が去った方向を見つめる桜。

「だから、やめとき…言うたんや…」

桜の表情が曇る。

「…桜さん、あいつ、右腕、まだあかんのか?」
「ちゃうねん。…あん人、五代目のこと考えたら、いつもああやねん。
 平気なようやねんけどな、未だに、あかんみたいや」
「よしの、ここに座っとけ」
「はっ」

須藤は、席を立ち、カウンターに廻って、奥の部屋へ入っていった。桜は、何事も無かったように、客の相手を始める。



奥の部屋。
水木は、ベッドの上に仰向けに寝転んでいた。部屋へ須藤が入ってきたことが解ると、須藤とは、反対側に寝返った。

「情けないだろ…。自分でしときながら、組長の事を考えると
 いっつもこうなんだよ。そして、腕の力が抜ける…。
 こんな…罪悪感なんて、今まで感じたことなかったのにな…」

水木が、静かに語りだした。須藤は、水木に背を向けて、ベッドに腰を掛け、俯き加減で、口を開く。

「昔のお前は、こうやなかったな。…組長…五代目と関わるように
 なってから、お前…少しずつ変わった。…だからやろ?」
「……あぁ」

水木の声は、少し震えていた。
沈黙が続く。





天地山ホテル・真子の部屋。
まさが、慌ててドアを開けた。

「お嬢様!?」

まさが、真子に駆け寄る。
真子は、うなされていた。
額に汗を浮かべ、顔をしかめている。
まさは、真子の両肩に手を掛け、声をかけ続ける。

「お嬢様、お嬢様!!」
「……!!!!!! ……まささん!!!」

目を開けた途端、目に飛び込んできたまさの顔を見た真子は、まさにしがみつく。

「…怖い!!!」

まさは、力一杯、真子を抱きしめる。

「大丈夫です。…夢…夢ですから。お嬢様、ご安心下さい」

まさは、真子を優しくなだめる。
真子は、震えていた。

「…ごめんなさい…まささん…。起こしてしまって…」
「落ち着きましたか?」

真子は、まさの腕の中で、ゆっくりと頷いた。そして、そっとまさから、離れる。
まさは、優しく微笑んでいた。

「…赤い光が…みんなを襲っていた…。途轍もなく恐ろしくて…。
 まさちん、くまはち、…むかいん、ぺんこう…そして、真北さん。
 私の周りに居る人たちを襲っていくの…。それが、私だった…。
 私の手が、真っ赤に染まって…」

自分の手を見つめる真子。
手は微かに震えていた。
その手をしっかりと握りしめるまさ。

「夢ですよ。…お嬢様は、そのような恐ろしいことをなさる方では
 ございません。みんなを守っておられるんですよ。その光で」
「夢だけど、現実になったら…」
「なりません」

まさの言葉は力強かった。その言葉で、安心したような表情になる真子だった。

「…ありがとう」

真子は、微笑んだ。

「ご心配でしたら、こんな時間ですが、電話してみますか?」

尋ねながらも、まさは、ベッドサイドにある受話器を取って、電話を掛ける。




真子の自宅。
寝静まっている二階の廊下に設置している電話が鳴り始めた。
ぺんこうの部屋のドアが開いた。
どうやら、ぺんこうは、起きていた様子。

「もしもし。…って、まさ。…組長に何か遭ったのか?」

まさの声を聴いた途端、ぺんこうの心に不安が過ぎる。
電話の向こうで、何やら、小声で話している様子。
真子が電話に出た。

『ぺんこう…』

ぺんこうは、自分を呼ぶ真子の声の調子で、真子の心情を察する。

「大丈夫ですよ。ご安心下さい。くまはちもむかいんも、
 まさちんもちゃんと部屋に居ますよ。ただ、真北さんは、
 もう暫く仕事で帰ることできないと言ってます。…元気ですよぉ。
 あの人がくたばるわけないでしょう。…大丈夫です。
 それより、そちらは、まだ、雪が降っているとお聞きしましたよ。
 無茶してませんよね?」

ぺんこうの声で、まさちん、くまはち、むかいんが、部屋から顔を出し、様子を伺い始めた。ぺんこうは、すごく優しい表情で、真子と話し込んでいた。

「…昔、あぁいう感じで、組長の猫電話に掛けてたんやろな」

くまはちが、呟いた。

「組長の話し方にそっくりや」

むかいんが、思い出すような感じで話す。

「なんだかなぁ」

まさちんは、妬いているのか、ふてくされたように部屋へ戻り、ベッドに寝転んだ。
くまはちとむかいんは、そんなまさちんを見つめながら、笑いを堪えていた。

「真北さんに、連絡するように言っておきます。はい。
 …気になさらないでください。いつでも構いませんよ。
 組長と私の仲ではありませんか。…わかってます。
 えぇ。テスト休みになります。…大丈夫ですよ。
 ご心配なさらないで下さい。…はい。お休みなさい」

ぺんこうは、受話器を置いた。
そして、いつの間にか後ろに立っている、くまはちとむかいんに振り返る。

「…怖い夢見たんだと。…赤い光が俺らを襲って、その光を発していたのが
 組長…手を真っ赤に染めてる自分だったから。夢と思えないらしくて…。
 それで、まさが心配して、組長が安心するように電話を掛けたんだと」
「予知夢?」

くまはちとむかいんが、呟く。

「…ちゃうやろ」

ぺんこうは、少し困ったように髪の毛を掻き上げた。

「真北さん、いつ退院や?」
「暫く無理や。橋先生が心配して、退院許可出さへん。怪我はとっくに
 治っているんやけどな」
「そうか。…せめて、組長に声くらい聴かせてあげたいんやけどな。
 …あかんか?」
「明日も、伺うから、その時にでも橋先生に聞いてみるよ」
「頼んだで」
「あぁ」

ぺんこうたちは、自分の部屋へ戻っていった。



真子は、安心したように、布団に潜り、眠りに就いた。
隣で添い寝するまさの手をしっかりと握りしめて…。




水木の店・奥の部屋。
長い沈黙が続く。水木がゆっくりと口を開いて、語り始めた。

「組長の飲み物に、薬入れて、自由を奪って…そして、ここで、
 何度も何度も…。それから約九日間…俺のマンションや車の中、
 組事務所の組長室…俺の自宅の部屋…色んな所で抱いていた…」

水木は、仰向けになる。須藤は、その動きに気が付き、ちらりと振り返る。

「一度だけや。嫌がったのは…。自分が知ってる俺じゃないって
 泣き出しそうな表情で、俺に言うた。俺だって、後に退けずに
 困ってたんや…ぺんこうの昔の感情を抑える為に、身を捧げたんなら
 俺のこの感情も…そう言ったら、組長…急に変わった…」
「お前のことも大切や…ちゅうことやろ」
「そんな優しい組長に無茶苦茶な条件を出した自分が…」

水木は、それ以上何も言わなかった。そして、静かに尋ねる。

「なぁ、須藤」
「ん?」
「俺を殺してくれ」

呟くように言う水木に、驚いたように振り返る須藤。

「お前、何を…!!!……水木…」

水木は、泣いていた。
水木の目から、止まることを知らないかのように、涙が溢れ、流れていた。

「…俺を…殺して…くれよ…」

須藤は、ため息を付いた。

「……そうか…」

須藤は、懐から、銃を取りだし、水木の額に当てる。

「望み…叶えたる」

銃声。

店にまで、その音は、聞こえていた。カウンターに座っていたよしのが、急いで、カウンターを乗り越えて、奥の部屋へ入っていった。

「おやっさん!!!」

よしのに振り返る須藤は、何事もなかったような表情をしながら、懐に銃をなおした。

「…一体…」
「ん? あ、あぁ。こいつが、あまりにも死にたがってるからな、
 一発ぶちかましただけや」
「って、おやっさん、店にまで聞こえてましたよ」
「棚から物が落ちただけや言うとけ」
「は、はい」

よしのは、静かに部屋を出ていった。
須藤は、ため息を付く。

「…これでも、まだ、死にたいんか?」

須藤の後ろに横たわる水木は、右耳を押さえながら、ゆっくりと起き上がった。水木の頭があった場所から、少し右横にずれた所の布団に、焦げた痕が残っていた。

「…あのなぁ〜。耳の真横でぶっ放すなよ…耳がキーンと
 しとるやないかぁ。鼓膜、破れたらどうすんねん!」
「で、死にたいんか?」
「…気ぃ失せたわい。このあほんだら」
「…死を間近に感じたら、誰だって、失せるやろ」
「そうやな…」

そう呟いた水木は、突然笑い出す。それにつられたように、須藤も笑い出した。

「それが、お前や」

須藤が言った。

「流石、長年、つるんでるだけあるな」
「そやけど、組長の前だと、思い出すんやろな」
「かもしれへん。…気ぃ引き締めるわ」
「そうしてくれや。次、同じように陥ったら、ほんまに撃つで」
「そん時は、よろしくな」

沈黙が続く。

「そや」

須藤が言う。

「ん?」
「ぺんこうの今の姿、見といた方がええんちゃうか?」
「なんでや?」
「お前の気持ち、整理つく思てな」
「やめとく。…見んでも、大丈夫や。教師やろ?」
「あぁ。素敵な教師や」

ドアの所で須藤と水木の様子を伺っていた桜とよしのは、安心した表情で、顔を見合わせていた。




次の日の朝。
寝屋里高校の近くに高級車が停まった。
中に乗っている人物は、高校の校門前で、登校する生徒達に、元気に声を掛ける先生を見つめていた。
輝く笑顔を見せる生徒達。
それに優しく応えるような笑顔を向ける先生…ぺんこうだった。
生徒達が途切れた時だった。ふと、高級車に目線を移すぺんこう。
軽く会釈をする。
そして、再び登校する生徒達に声を掛けていた。

「なるほどな。この目で見れば、更に感じるよ」
「素敵な教師だろ。一平も担任だったら良かったのにって
 時々呟いてるくらいだからな」
「すっかり戻ったんだな」
「あの事件の前よりも磨きがかかった教師や。だから、お前も
 磨きかけろよな」
「わかったよ…」

後部座席に座る水木と須藤は、ぺんこうの教師っぷりを思いっきり堪能する。

「よしの、車出せ。ビルや」
「はっ」

須藤の声と共に、車は発車した。
ぺんこうは、車が見えなくなるまで、見送っていた。

「ほら、走れ!! チャイム鳴るぞぉ!!」

ぺんこうの言葉に生徒達は、慌てて走り出す。
ぺんこうは、輝いていた。




空港。
白地に紺の縦縞が入ったスーツを着た金髪で、サングラスを掛けた男が、荷物を片手に、誰かを探すように歩いていた。探していた人物を見つけたのか、笑顔で、サングラスを取り、思いっきり手を振った。

「木原サン!!」
「おぉ、待ってたでぇ、ライ!」

二人は、再会を喜ぶように抱き合った。

「カイトさんもお元気そうで」

ライの後ろに着いて歩いてきた男にも挨拶をする木原。
カイトと呼ばれる男は、深々と頭を下げた。

「今回は、マネージャーですね?」
「ソウデス。宜シク、オ願イシマス。スケジュール、一杯ネ」

ライが、日本語を知らないカイトの代わりに応えた。

「滅茶苦茶忙しいのに、無理して、会いに来なくても〜」
「日本デノスケジュール、全部、ツメマシタ。真子ニ逢ウ時間モ、
 タクサン、作リマシタ」
「…それがね…真子ちゃん、今、休養とってるから、大阪に
 居ないみたいなんだよ。悪い!」
「大丈夫ネ。ワタシ、真子ガ、住ム街、見学スルネ」

カイトが、ライに何かを尋ねる。
ライは、笑顔でカイトに応える。
カイトは、微笑みながら、ライに何かを告げた。

「どうした?」
「来テスグニ、逢ウ事デキナイト、言ッテマス」
「そうかぁ。ほな、時間が空いたときにでも、大阪を案内したる。
 いつでも連絡してくれよ。でも、今日は、付き合ってもらうで」
「オーケーオーケー! ヨロシクネ」

木原は、ライとカイトを案内しながら、空港の駐車場へやって来る。そして、木原が運転する車は、空港を後にした。




ライとカイトが宿泊するホテル。
二人は、木原に、街を軽く案内してもらい、日本へ来て早々のスケジュールをこなし、ホテルへとやって来た。
部屋でくつろぐ二人。

「ライ様、明日のスケジュールは……」

流暢な日本語で、ライにスケジュールを話すカイト。
ライは、聞いているのかいないのか、手にした写真を見つめて微笑んでいた。

「って、聞いてますか?」
「聞いてるよ。…改めて言わなくても、覚えてるさ。それより、
 早く逢いたいなぁ〜。この素敵な笑顔に…。青い光の…持ち主に…」
「噂では、すでに失われたということですが…」
「そう簡単に失われないさ。…まずは、持っているか、確認だな」
「手はずは、整っております。いつでも、ご命令を…」
「彼女が、帰ってきてからだ…」
「御意…」

不気味な笑みを浮かべるライ。
それに応えるかのように顔を上げたカイトも笑みを浮かべていた。

真子に、新たな魔の手が伸びる…。



(2006.7.16 第四部 第六十話 UP)



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※旧サイト連載期間:2005.6.15 〜 2006.8.30


※この物語は、どちゃん!オリジナルのものです。著作権はどちゃん!にあります。
※物語全てを著者に無断で、何かに掲載及び、使用することは、禁止しています。
※物語は、架空の物語です。物語内の登場人物名、場所、組織等は、実在のものとは全く関係ありません。
※物語内には、過激な表現や残酷な表現、大人の世界の表現があります。
 現実と架空の区別が付かない方、世間一般常識を間違って解釈している方、そして、
 人の痛みがわからない方は、申し訳御座いませんが、お引き取り下さいませ。
※尚、物語で主流となっているような組織団体を支持するものではありません。


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