任侠ファンタジー(?)小説「光と笑顔の新たな世界・復活編」

第一章 驚き
第三話 現れる。

時間は、少し前にさかのぼる・・・・・・。


街の一角にある幼稚園。
季節感のある木々は、すっかり葉が落ち、枝だけになり、空の明るさを通していた。
園児達の居る教室では、テレビ番組に合わせて体操が行われていた。
テレビに映る人物の動きを真似るように、園児達も踊っていた。

う〜ん、なんか、ちょっと・・・違うんだけど・・・。
まぁ、いいかぁ。かわいいしぃ〜〜。

そう思いながら、園児達一人一人の動きを見つめているのは、園児達の先生・桃華だった。
突然、テレビから、臨時ニュースの音が聞こえてきた。音と同時に、字幕が現れた。桃華は、その字幕に目を懲らす。

「えっ・・・」

繰り返し流れる文字に、桃華の動きが止まった。すると、園児の一人が、

「せんせい、AYビルって・・・パパがはたらくとこ・・・
 なにか、あったの?」

桃華に尋ねてきた。

「じゅんやくん・・・そっか、英語読めたっけ・・・」

じゅんやと呼ばれた園児は、英会話教室に通っている為、英語が読めた。しかし、字幕には漢字も含まれていた為、内容までは解らなかったらしい。

「う〜ん・・・」

どのように伝えれば良いのか、桃華は悩み出す。AYビルで働いているのは、じゅんやの父親だけでなく、この教室内には、他の園児の親も働いていた。もちろん、そこには・・・。

「・・・!!!! ママのなまえ・・・」

真子の愛娘である、美玖も居た。美玖は、真子の名前は漢字でも分かるらしい。だからこそ、

「ももかんせんせい・・・ママに、ママに・・・なにかあったの?」

凄く心配そうな声で尋ねてきた。

「真子ママの名前が出たのは、ビルの中で一番偉い人だからだよ。
 ビルで何かあったけど、みんな避難したって、書いてあるよ」

嘘をついた。

「ママ・・・だいじょうぶ? りょうパパも、じゅんやくんパパも、
 みなちゃんパパも? みんな、ひなんしたの??」
「うん。みんな無事って書いて・・・・!!!!」

あちゃぁ〜〜〜・・・。

番組が終わる時間と重なったこともあり、テレビ画面は突然、中継画面に切り替わった。そこに映し出された映像は、AYビル三十八階の窓が吹き飛び、中が見える無残な映像だった。

「!!!! ママぁ〜〜〜〜!!!」

美玖が、テレビの映像を観て、狂ったように叫びだした。




「えぐっ・・・ふえっ・・・ひっく・・ふえっ・・・。ママ・・・」

桃華にしっかりと抱きかかえられた美玖。顔は涙でぐしゃぐしゃに濡れていた。
非常事態もあり、AYビルで働いていた者達が、早々に帰宅。幼稚園での出来事を心配した親達は子供を迎えに来ていた。美玖のことを心配したのか、優しく声を掛けていく母親も居た。

「真子さんは無事で、ビルの責任者でもあるから、
 いつも以上に忙しくなったみたいですよ。だから、美玖ちゃん。
 真子ママ、遅くなると思うけど・・・ほら、もう、泣かないのぉ」

美玖の頭を優しく撫で、濡れた顔をハンカチでそっと拭く。

「ママ、けが・・・してないの? じむしょ・・・」
「事故の時は、別の場所に居たから、大丈夫」

力強い言葉に、少し安心したのか、美玖は、そっと頷いた。

「理子さんが、もうすぐ来ると思う。むかいんさんは、仕事場に
 戻っていったって、主人が言ってた」
「そうですか。ありがとうございます」

桃華は美玖に目線を移した。

「では、私はこれで。今日もありがとうございました」
「お気を付けて。じゅんやくん、またあした!」
「さようなら! ももかせんせい! みくちゃん、またね」

じゅんやの言葉に、美玖は、コクッと頷き、すぐに、桃華の胸に顔を埋めた。

「ママ・・・おむかえ、むりなのかな・・・」
「今日は迎えに来るって言ってたもんね、美玖ちゃん」
「うん。・・・ももかんせんせい・・・」
「なぁに?」
「ほんとに、ママ・・・だいじょうぶなの? おとなのうそ・・・
 ちゃうよね・・・」

うぅ・・・鋭い・・・。

美玖の言葉に、桃華は何も言えなくなってしまった。
小さな頃から、たくさんの大人達と触れ合っていた美玖と光一。大人達というのは、AYビルで働く、須藤組組員やAYAMAの従業員たちのこと。小さな子供相手に、年相応の接し方をしていたが、子供なりに、何かを感じ取っていたらしい。だからこそ、大人が子供に付く『優しい嘘』にも気付いていた。だが、真子の立場=阿山組組長であることは、理解していない。

「りこママに・・・きくぅ・・・」

応えに困っていた桃華に、美玖が小さく言った。
そこへ、理子が光一と共にやってきた。

「美玖ちゃんっ!」

その声に、勢いよく振り返る美玖。理子の顔を見た途端、

「りこママぁぁああああっ〜〜わぁ〜ん!!!」

再び、火が付いたように、泣き出した。



泣き疲れたのか、美玖は、理子に抱きかかえられ、腕の中で眠っていた。心配そうに美玖を見上げる光一は、理子のコートの裾をしっかりと握りしめていた。

「桃華先生、ありがとうございました」
「こちらこそ、本当に心配しましたよぉ。でも、安心しました
 くまはちさんが一緒なら、真子さんも大丈夫ですね」
「取り敢えず病院に行ってるけど、怪我はしてないって
 聞いてるから」

そう応えたものの、理子の表情は暗かった。
むかいんから、それとなく耳にした内容。もちろん、真子が持つ特殊能力が関わっていること、そして、その能力の一つである、青い光を受けた者の身に何かが起こりつつあるということ。
むかいんだけでなく、理子も青い光で傷を治している。

「理子さん?」

いつもは見せない理子の表情が気になり、声を掛ける桃華。

「あっ、すみません・・・」
「無理なさらないでください。悩み事があるなら、  私が聞きますよ」
「ありがとうございます。でも桃華先生に相談すると、
 そのまま桜さんに話が言って、桜さんから水木さんに、
 伝わるでしょう? あまり、真子の悩みの種を増やしたく
 ないんだもん」
「あははは・・・」

ばれてるぅ〜〜。

桃華は苦笑いするしかなかった。




真子の自宅・リビング。
理子は誰かと電話中。

「うん。わかった。うん・・・美玖ちゃんは大丈夫。
 少しだけ元気になって、今、光一と遊んでるよ」
『なんとか早めに終わらせるから、もう少し頼むで』
「ビルは・・・?」
『松本さんが直ぐに動いたし、三十八階だけらしいから
 いつものように仕事してる所もある。店もいつも通りに
 するつもりや。でもまぁ、今日は、どの店も閉めるように
 言われとるから、明日の仕込みだけしとく。・・・で、
 ぺんこうは?』
「真北さんに停められたみたい」
『ったく・・・』

来る前に連絡してたんか・・・素早いなぁ。

「ほな、準備しとくわ」
『よろしくな』

受話器を置いた理子は、リビングに振り返る。
美玖と光一は、楽しそうに遊んでいた。

でもなぁ。入院するんちゃうんかなぁ。

時刻は夕方四時を指すところ。
理子はキッチンへと向かって行った。





そして、今・・・。


住宅街に続く道の曲がり角から少し入った所に、一台の車が停まっていた。
運転席と助手席に人の気配があった。
助手席に座る女性は、膝を抱えて顔を埋めていた。その様子を伺うかのように、男性の運転手は俯き加減になっていた。
時々微かに聞こえてくるすすり泣く声。
まるで、恋人同士の喧嘩で、女性が泣いてしまった感じに見えていた。



猛スピードで走る車があった。赤信号で、左折レーンの先頭に停まった途端、運転手は、少し苛立ちを見せた。

ったく・・・。何が大丈夫だから安心しろだよっ。
心配で仕事にならんだろが。

舌打ちをした運転手こそ、ぺんこうだった。
事件を職場である学校で耳にして、授業を途中で切り上げた。学校に通う生徒の中にも、何人かの親が、AYビルで働いている。授業中、突然入った緊急校内放送で呼び出された生徒の名前を耳にして、ぺんこうは、何かが遭ったと悟った。急いで職員室に駆け込み、ニュース映像を目にした。

「真子・・・」

その呟きに職員達も言葉を失った。ニュース映像から、怪我人は居ないという文字を目にしても、事情が事情だけに(ビル所有者が阿山組である為、世間の目を気にして、情報を操作されていることもある)、ぺんこうは、素早く帰り支度をし始める・・・その時に、電話が鳴り、

動くな。

と、電話の相手が短く言った途端、返す言葉の時間も無く、電話が切れた。
それだけで判った。
最悪の事態であることが・・・。


信号が青になり、ぺんこうはアクセルを踏み込み、左折した。
一台の車の横を通り過ぎる。

ったく、こんなところで・・・。

ちらりと横目で見えた男女。助手席の女性が泣いている事にも気が付いた。バックミラーで、車の様子を確認したぺんこうは、急ブレーキを踏んだ。



停まっている車の助手席に座る女性は、落ち着いたのか、顔を上げた。
真子だった。

「五代目。そのことは、以前から感じていたことですよ」

運転手の剛一が、そっと言った。
真子は一点を見つめたまま、剛一の言葉に首を傾げる。

「八造の傷の治り方ですよ。親父が、橋院長と道院長から、
 あの時の怪我の状況と傷口の状態から、不思議に思ったと。
 それで、調べてみたら、その可能性もあるだろうと、
 推測してました」

剛一は、ちらりと真子を観た。真子の目からは、涙が溢れ、頬を伝って流れていた。そっとハンカチを差し出す。

「取り敢えず、涙を拭いてください。美玖ちゃんが心配しますよ」

と言った時だった。一台の車が横を通り過ぎ、急ブレーキを掛けて停まった。

「・・・と、その前に、山本くんが心配しますね・・・」

急ブレーキを掛けて停まった車から、怒りと不安が入り交じった複雑な表情をしたぺんこうが降りて、車を見つめていた。
真子が顔を上げると、一歩踏み出したぺんこうが、駆けてこようとしてる姿が目に入る。真子はハンカチを受け取り、素早く涙を拭いた。

「真子っ!!!」

剛一が運転席の窓を開けると、ぺんこうが身を入れてきた。

「おっと! 真子さんは・・・」
「剛一さん、どうして?」

運転席に座っていたのが、剛一だということに、気付いてなかったらしい。くまはちだと思っていた為、ぺんこうは、怒りの表情を見せていた。慌てて、怒りのオーラを抑え込んだ。

「愚弟が動けないんでね、それで」

短く答える剛一に、ぺんこうは、頭を下げた。

「まさか、くまはち・・・」

真子が泣いていた事で、くまはちの怪我がかなり酷いのだろうと考えたぺんこうだが、

「大事を取っただけですよ」

剛一が冷静に言ったことで、安堵する。

「ただ、その・・・美玖ちゃんのことでね・・・」
「美玖なら理子ちゃんと光一くんと一緒に自宅ですよ」
「あっいや、その・・・幼稚園で、美玖ちゃんが泣いてしまって、
 それで、真子さんのことを心配したらしくて、そのことで・・・」

剛一の言葉で、真子がなぜ泣いて、剛一が、どうして、この場所に車を停めたのかを把握した。

「ったく・・・。美玖なら落ち着いて、光ちゃんと遊んでるって
 理子ちゃんが言ってましたよ。確かに、心配はしたみたいだけど、
 真子が無事だと知って、帰って来るのを待ってるそうですよ」

真子は、そっと頷き、ぺんこうに振り返った。
でも、その目は真っ赤で・・・。

「先に帰ってますので、戻ったら、動いてくださいね。
 剛一さん、お世話かけます」
「いいえ、遠慮無く」
「では。真子。大丈夫だから」

ぺんこうの言葉に、真子は頷く。
そして、ぺんこうは自分の車に戻り、ちらりと振り返りながら運転席に乗り込み、車を発車させた。
遠ざかる車を見つめる真子と剛一。

「・・・ありがと・・・」

呟くように言った真子は、またしても、涙を流してしまう。

「八造の傷の治りが、異常に早いことも気付いてましたよ」

剛一は話を続けた。

「青い光の影響で、とある細胞が活性することは、
 リックの資料で存じてますし、その活性力を利用して
 治療薬を作ったニーズ。認可された薬を使用してる
 橋総合病院。それらのデータから考えられることは、
 体を鍛えることで、その影響が強くなることですよ。
 八造が今でも体を鍛えまくるのは、恐らく・・・」
「八造さんも気付いてるってこと?」
「えぇ」
「そっか・・・それで、最近・・・言う事きいてくれなくなったのか」

項垂れる真子と真子の言葉で頭を抱える剛一だった。

「ったく、あいつは。これは、恐らく俺が病院を出た途端
 勝手に動いてるな・・・」

剛一が言った通り、くまはちと真北は、剛一の車が病院を出て行ったのを確認し、橋に許可を(珍しく)取ってから、退院していた。

「でも、それなら、山本くんや向井くんが一番影響してるはずですね。
 二人とも、心臓は止まったはずですよね」
「止まってた。・・・八造さんは、怪我が酷いだけで、美穂先生の
 治療で一命は取り留めた。でも、首の傷は残りそうだと言ってたから、
 だから、あの日・・・」

真子は右手を見つめ、そして握りしめた。
その時、ほのかに青く光ったことに、剛一は目を見開いた。

「五代目・・・まさか・・・」
「今年になって、戻ってることに気付いた。だから、赤い光も
 そして、心の声も・・・」
「それで・・・」

剛一は、大きく息を吐いた。
車を停める前、真子が突然泣き出す前に、心で思った事があった。

「ごめんなさい。気を緩めてしまった」
「申し訳御座いませんでした」
「私こそ・・・」

真子に聞こえてきた剛一の八造に対する思い。そして、真子への思い。
その思いが強かったこともあり、真子は泣かずには居られなくなったのだった。

「ふぅ〜。仕方ありません。八造に任せますよ。
 ですが、五代目。これだけは、忘れないでください」

そう言って、剛一は真子を見つめ、心で語る。
真子は剛一を真っ直ぐ見つめ、剛一の語りを耳にした。
真子は、フッと笑い、そして、

「負けませんよ」

そう呟いた。
剛一はハンドブレーキを下ろし、ウインカーを右に出す。安全を確認してから、アクセルを踏んだ。
車は、真子の自宅へと向かっていく。先に帰宅したぺんこうから話を聞いたのか、自宅の前には、美玖とぺんこう、そして、理子と光一が待っていた。真子の車が見えた途端、美玖は大きく手を振る。
車が自宅前に停まり、真子が降りてくる。そして、家の前で待つ美玖の前に立ち、

「ただいま」

心和む笑顔で、美玖に言った。

「ママ、おかえりっ!」

真子の足にしがみつく美玖。本当なら、飛びつきたいが、真子の服の袖からチラリと見えた包帯に気付き、真子に負担掛けないようにと、優しくしがみついていた。

「では、私はこれで。真子さん、暫くは自宅療養ですよ」

真子の笑顔と美玖の安心した表情をみて、剛一が言った。

「剛一さん、今日はありがとうございました」

真子が言うと、美玖は剛一に駆け寄った。

「ん? 美玖ちゃん、どうした?」
「ごぉいおじちゃん、おゆうはん、どうぞ」
「あっ、いや、私は・・・」
「実は、くまはちさんの分を作ってしまってて・・・」

理子が恐縮そうに言うと、

「剛一さん、お時間ありますよね」

真子が空かさず尋ねる。どうやら、この後の剛一の行動に気付いたらしい。
真子の目が語っていた・・・。

困ったな・・・。

剛一の心の声は、真子に聞こえている。それ以上、何も考えないことにしたのか、観念したように、

「お呼ばれします」

そう応えた。


剛一は真子の自宅にある駐車場に車を停め、玄関までやって来た。そこには、ぺんこうが待っていた。

「本当に、良かったのですか?」

ぺんこうの言葉には、ある意味が含まれていた。

「えぇ。八造が動いているからなぁ〜」
「愚兄で申し訳御座いません」

ぺんこうは深々と頭を下げた。それには、剛一が笑い出す。

「お互い、兄弟で苦労しますね・・・」
「そうですね」

二人は呆れたような表情をしながら、家へと入っていった。


真子達が夕飯を食してる頃、くまはちと真北は、とある場所に来ていた。

「現状は?」
「動きは止まりましたね。例の二人は、滞在中です」
「こっちに居て情報収集できるのか?」
「大丈夫でしょう。今は通信機能が発達してますし
 あの組織ですから、その辺りは優れてそうですねぇ」
「こっちよりは劣るやろが」
「はぁ・・・まぁ、そうですけどねぇ」
「ほんまに驚いたで」
「そりゃぁ、三十八階ですからねぇ」

ちょっぴりふざけた口調で、栄三が言うと、鈍い音が一瞬、聞こえた。

「そっちじゃない。桂守さんの方だ」

怒った口調で、真北が言った。

「無理しないでくださいよ」
「俺の体や、ほっとけ」

どうやら、栄三の腹部に拳を入れたのは良いが、体の傷に響いたらしく、顔をしかめていた。

「まさかと思うが盗聴・・・」
「勝手に受信するのは、知りませんって」
「ったく・・・そっち方面の許可は取ってない」
「取らなくてもいいですよ」
「いいや、もしもの時がある。申請しとく」

真北が就く特殊任務の条件に、通信関連は含まれていないらしい。
時代の変化に気付いていたものの、その方面に関しては、足で稼ぐ者達だったこともあり、必要ないと考えていた真北だった。

「で、健」

真北が呼ぶと、顔だけを上げた健。

「どうや?」
「無事、夕食終わりましたぁ。で、お泊まりするかで
 悩んでいるみたいですよぉ・・・!!!!!」

健が言い終わる前に、二つの拳が頭の上に落っこちた。

「そっちじゃないっ!!」

どうやら、小型のパソコンでキーボードを目にも止まらぬ速さで叩いていたと思われた健は、情報収集じゃなく、とある一家で起こっている出来事を報告する為の行動だったようで・・・。

「収集中やから、別方面を収集してただけやんか。
 何も二人揃って殴らんでも・・・」

ふくれっ面になる健に、苦笑いする真北とくまはち。

「暫くは、動かないと思いますよ。ですので、
 今は休息が必要ですね」
「退院許可は取ってある。こっちは任せたから、
 俺は別方面から攻める。ついでに申請しとく」

そう言って立ち上がり、真北はその場を離れていった。

「八やん、ええんか?」
「本来の仕事に付いていけんやろが。で、健」

静かに呼んで、手を出すくまはち。しかし、その手は、ひしっと握りしめられた。

「・・・!!!!!!」

振り解こうとするが、その手は離れない。突然、後ろ手にされたくまはちは、身動きが取れなくなった。

「おいおいおいおいぃ。簡単に取らせるなよぉ。
 やっぱし、暫くは動きが鈍るんだな」
「なんのことだ?」
「傷。すでに治ってるんやろ。瓦礫の下から出た時は
 かなりの傷やったんちゃうんか? その後、直ぐに動いて
 治り始めた。しかし、今回は思った以上に重かったんやろ?」
「だから、なんのことや、栄三。ここでは暴れたくないんやけど、
 離せへんのやったら、動いてええか?」
「それは、あかん」

健が応えた。

「体を鍛えて速くしたら、それこそ、体への負担も増えるんちゃうんか?」
「だから、栄三、どういうことや」
「しらばっくれても無駄やで」

その言葉に、くまはちは、首を傾げた。

「だから、何を言ってるのか、ほんまに解らんねんけど・・・」
「・・・くまはち・・・」
「あん?」

返事に怒りが籠もってる。栄三は手を離し、

「俺は嫉妬するで」

静かに言った後、健に目をやった。

「泊まっていくみたいやでぇ。組長に負けたっぽい」

健が応えると同時に、くまはちの拳がわなわなと震え出す。

「八やん、タンマやぁ!!!!」
「問答無用っ!!」

栄三の頭の上を、くまはちの蹴りが見えない速さで通り過ぎた・・・。



真子の自宅の、くまはちの部屋。

「おやすみなさい」
「お休み」

ドアのところで丁寧に挨拶をする美玖に、剛一は優しく応えた。
美玖が真子の部屋に入り、二人一緒に寝静まるのを確認した後、剛一は、部屋を見渡した。
弟の部屋とはいえ、探ってはいけないのは解ってる。しかし気になることがあるのは確かだった。

それにしても、殺風景やなぁ。

何も飾っていない、余分な物は置いていない。
しかし、目に付くところに、ネコの置物が置いてある。

五代目から?

その置物をじっと見つめる剛一だが、目の部分が微かに光ったことに気が付いた。
その時、携帯電話が震えた。
携帯電話の画面に表示された文字に、項垂れる。

八造 メール

剛一は直ぐにメールを開いた。

「ったく・・・」

そう呟いて、剛一は返信メールを打ち込む。

「はいはい。大人しく寝ますよぉ。そして、明日は
 職場に戻りまぁす」

ネコの置物に話しかけ、剛一は用意された布団に潜り込む。
暫くして寝息が聞こえてきた。




くまはちは、フッと笑って、携帯電話を懐にしまいこむ。

「くまはち、剛一さん、なんて?」
「大人しく職場に戻るそうだ」
「ほな、開始するで。霧原にも伝えとくし」
「そうやな。宜しく。・・・で、栄三はどうする?」
「二人の返事待ちや」
「そうか」

短く答えたくまはちは、そっと目を瞑った。

「寝るんやったら、部屋に行ってええで」
「すまんな」

くまはちは、その部屋を出て行き、別の部屋にあるソファに寝転んだ。
栄三と健が、部屋に戻ってきたのは、それから一時間後。

「兄貴、ほんまみたいやな」
「そうやな」
「二人だけの秘密に、嫉妬やろ」
「桂守さんから聞かなかったら、疑うところやったで」

そう言いながら、栄三は、寝入るくまはちの体に、タオルケットをそっと掛ける。

「いつからなん?」

健が尋ねる。

「首の傷、俺が原因やったし、それに、あの傷の深さから
 跡が残るはずやのに、残ってへんし。それで、あの当時は
 お袋、自分の腕の良さを過信してたし・・・」
「実際、凄腕やん」
「まぁなぁ。それからやもんなぁ。お袋の腕に磨きがかかったんは」

栄三は、くまはちの首もとを見つめていた。

「兄貴、穴あく・・・」
「俺の目線に起きない程やねんから、相当やろが」
「そうやけど。でも、どうするん?」

健は小型パソコンの画面を栄三に見せた。
そこには、くまはちと剛一のメールのやり取りが表示されていた。

『秘密』
『五代目に心配をかける事はするな』

「それが、剛一の思いだからな。俺には停められん」

静かに栄三が言った。




朝。
真子の部屋では、真子と美玖が、まだ眠っていた。
その様子を、ちらりと伺い、剛一は一礼して階下へ向かう。キッチンでは、すでに動きがあった。

「おはようございます」

キッチンに顔を出した剛一は、朝食の準備をしているむかいんに挨拶をする。

「おはようございます。ゆっくり・・・眠れなかったのでは
 ありませんか?」

むかいんの言葉に、剛一は苦笑い。

「いつも弟が世話になってる。ありがとう」
「こちらこそ、私だけでなく、理子や光一まで気を掛けてもらって
 ・・・なので、私には、これくらいしか・・・」

そう言って、剛一の為の朝食をテーブルに並べていった。
朝食にしては豪華なほど、テーブルに並んでいく。

「あの・・・私は、ここまで・・・」
「・・・・・・すみませんっ!! くまはちの量と同じかと思って、
 つい・・・」
「あいつ、いつも、この量を?」
「はい・・・」
「・・・本当に、苦労掛ける!!!」

剛一は深々と頭を下げていた。
剛一は、むかいんの調理っぷりを見つめながら、料理を口に運んでいた。

「あの・・・猪熊さん・・・そんなに見つめられると・・・」
「あっいや、すまん。時間的に一緒に出勤かと思ったのですが、
 その量を作るとなると、出勤時間が遅くなりそうな感じがして・・・」
「下ごしらえだけで、あとは、それぞれが調理します」

剛一が食べ終わると同時に、むかいんも調理の手を止めた。

「送りますよ。向かうところは同じですから」

剛一が食べ終わった食器類を洗い始める。

「あっいや、そこまで・・・」
「これでも、長男ですから」
「猪熊家って、本当に何でもこなすんですね・・・」

むかいんが関心する。剛一の洗い方は豪快だが、素早く、そして、凄く丁寧だった。

「八造は、荒らしてばかりでしたよ」
「あぁ、それで・・・」

納得するむかいんだった。
そこへぺんこうが顔を出す。

「おはようございます」

三人同時に挨拶をする。それには、思わず笑い出した。

「ぺんこう、今日は休むんじゃなかったんか?」
「そのつもりやったけど、怒られた」

真子の様子を伺いに、寝起き一番に部屋に入った途端、ぺんこうの行動に気付いていた真子に怒られたらしい。

「ほな、いつもの時間に出勤か?」
「まぁなぁ。今日は誰も居らんけどな」

ぺんこうの声が遠ざかっていった。

「居ないって、クールは?」

むかいんが、洗面所にいるぺんこうに尋ねると、

『飛んでる。キルもや』
「ほな、えいぞうと健もやな」
『くまはちが戻るかもしれん』
「八造が??」

あまりにも珍しいのか、剛一が驚いたような声を挙げた。

「それよりも、いつ連絡を?」

キッチンに戻ってきたぺんこうに、剛一が尋ねる。

「今はメールが御座いますからね。それよりも気をつけてくださいね」
「ん?」

ぺんこうは、自分の耳に指を二回当てた。

盗聴、ハッキングされてますよ。

という意味らしい。
剛一の眉間にしわが寄った。

「真子に気付かれたら、それこそ、怒られますし、
 無茶な行動に出ますよ」

ぺんこうは話を続けた。

「解ってますが、私の思いには、既に気付かれておられるのでは?」

剛一に質問されたぺんこうは、笑みを浮かべるだけだった。

「では、私はこれで。向井くんと一緒に出勤しましたと
 五代目にお伝えください」
「伝えておきます」

ぺんこうは、深々と頭を下げ、むかいんと剛一を見送りに玄関へやって来た。

「いってらっしゃぁ〜い」

出勤する二人が乗った車をぺんこうは見送った。

「さてと」

グッと背伸びをしたぺんこうは、家に入っていく。



真子は起きていた。腕の中に抱く美玖を優しく撫でながら、階下の男達の様子を伺っていた。
そっと美玖の顔を覗く。
涙の跡が残っていた。


誰もが寝静まった真夜中。
違和感を覚え、真子は起き上がった。
左手がほのかに赤く光っている。
その光を抑え込むかのように、グッと拳を握りしめ、辺りの気配を伺った。
誰も起きた気配は無い。さらに、部屋に駆け込む様子も無かった。
ふと目線を移したところでは、美玖が起きていた。

「ママ・・・」

震える声で真子を呼ぶ。

「美玖、起こしちゃった?」

美玖は首を横に振り、真子の胸に顔を埋めた。
その途端、美玖が静かに泣き始めた。

「美玖、ありがとう。もう大丈夫だからね」

美玖は声にしなかったが、何を言いたいのかは、真子には聞こえていた。恐らく、真子を困らせると思い、幼いながらも、言いたいことを堪えていた。

ママが、ぶじでよかった。
えがお、みれた。
みく、こわかったの。
みんながいっても、こわかったの。
ママのすがたみるまで、まってたの。
ママ・・・ママ・・・。

心で呼び続ける美玖を真子はギュッと抱きしめた。

「ママぁ・・・」

あしたは、ずっといっしょがいい。

口に出来ずに、そのまま寝てしまった美玖。
真子は美玖を安心させるかのように、優しく背中をさすっていた。


真子は一睡もしていなかった。
剛一が様子を伺いに来たことも、ぺんこうが側に来たことも、知っている。
そして、その時に聞こえた声も・・・。


「ママぁ。ごういっちゃーしごとにいったの?」
「そうみたい。剛一さん、いつも一番に出勤してるからねぇ」
「おしごとねっしん。くまはちゃー、いつもいってるもん」
「そうだねぇ」

真子が、クスッと笑った。それにつられて、美玖も笑う。

「今日は、お休みする?」

美玖が頷いた。

「こうちゃんもおやすみする・・・」
「そうなると、お外に行けないよ?」
「おうちのにぃわでいい・・・」

ママのけがが、ふえたらおこられるもん。

「芯パパも出勤したみたいだし、そろそろ起きようっか」
「うん」

そして二人はベッドから降りて、着替えてから階下へ行った。すでに、理子が朝食の続きを作っていた。

「そろそろだと思って作っとったでぇ」
「ありがとぉ。おはよぉ」
「おはよございます、りこママ。こうちゃんは?」
「顔洗ってるよ。二人も行ってこぉい」
「はいっ」

元気よく返事をする真子と美玖だった。



「ごちそうさまでした」

朝食を終えた四人は、後片付けをした後、庭に出る。

「真子は、ゆっくり休むんやでぇ。日陰な」
「はいな〜」

真子は日掛けに置いてあるベンチに腰を掛け、子供達が遊ぶ様子を見つめていた。その間、理子は洗濯を終え、干していた。
理子が真子の横に腰を掛ける。

「ほんま、びっくりしたで。涼の表情で何が起こってるのか
 ありありと解ったし・・・」

前日のAYビルでの事件のことだった。

「ったく。むかいんはぁ」
「あと少しやなぁ。身についた何とやらやわ。
 気になりながらも、客への対応は早かったし」
「その辺りは、安心する」
「大丈夫なん?」
「怪我はね・・・」

静かに真子が応えた。

「そっか」

理子も静かに応え、それ以上何も言わなかった。
言わなくても解る仲。

「ありがと」
「うん」

二人の母親は、庭ではしゃぐ子供達を見つめ、微笑んでいた。

チャイムが鳴った。

「うちが行ってくる」

理子が庭から玄関へ通じるドアから応対する。

「はい」

門の所には、背が高くちょっぴりやせ形の見慣れない男性が立ち、玄関ではない場所から家主が現れた事に驚いたような表情をしてた。

「庭に居たので・・・、で、どちら様ですか?」
「来週から、ここから三軒隣の向かいの家に住む都村(つむら)です。
 本日はご挨拶に参りました」
「あのバリヤフリーのお宅の!」
「あっ、はい。うちの主人ですが・・・なぜ、それを?」
「建設業者に知り合いが居まして、立ち話の際に・・・」

理子と挨拶に来た都村は話し込む。
その時だった。

『ママ!!』

庭から美玖の声が聞こえてきた。

「えっ? えぇ!!」

玄関先で話し込んでいた二人が庭に振り返る。と当時に、二人の側を駆け抜ける人物に驚く。

「真子様っ」

くまはちだった。

「くまはちゃ・・・ママが・・・」

美玖が真子の側に寄ろうとしているが、真子が右手を差し出して、自分から美玖と光一を遠ざけようとしていた。真子は左手を抱えるかのように前のめりで地面に跪いていた。

「くまはち・・・二人を遠ざけて・・・危険・・・」

真子の言葉に従うように、くまはちは、美玖と光一を抱きかかえ、庭の様子を見に来た理子に託した。そして、真子に近づく。
ほのかに見える赤。
くまはちは、それが何か解り、そして、真子の行動の意味を知る。

「あの・・・手を貸しましょうか?」

ただならぬ様子に気付いたのか、挨拶に来ただけの都村が声を掛ける。

「それには及びません。ありがとうございます」
「真子、無理したらあかん言うたやんかぁ。
 すみません、ご心配をお掛けして。真子は体が弱くて・・・」
「あの方は?」
「お兄さんです」

理子の言葉に都村は、深入りしては駄目だと悟ったのか、

「それでは私はこれで失礼します。真子さん、ご無理なさらずに」

優しく言葉を掛けて去っていった。

「くまはちさん・・・」
「理子さん、二人と一緒に家の中へ」
「うん」

心配げな美玖と光一と一緒に、理子は家の中へ入っていった。

「組長、どうですか?」
「大丈夫・・・納まったみたい」

そう言って、真子は自分の左手を見つめた。

「突然だった。それに・・・」

真子は、くまはちを見つめる。

「えっと・・・その・・・。申し訳御座いませんでしたっ!!!」

真子が言いたいことは解ってる。だからこそ、真子の怒りに触れる前に、くまはちは深々と頭を下げていた。

「剛一さんを停められなかった。ごめん・・・」
「・・・組長・・・」

俯いた真子。地面に大きな滴が染みこんでいった。



近所への挨拶回りが終わったのか、都村は、真子の自宅前を通る時、ちらりと庭に目をやった。
くまはちと真子が、庭のベンチに座っているのが見えた。

落ち着いたのかな?
それにしても兄妹には見えないんだけど、
どういう関係なんだろう。
それにしても、先程の男性・・・いつの間に、側に・・・。

くまはちが側に居たことすら気付かなかったのか、都村は、突然現れたくまはちに驚いていた。


くまはちは、徒歩で帰宅した。
辺りを警戒しながら、自宅に向かっている時だった。見知らぬ男が、真子の家の前に立ち、チャイムを押していた。

誰だ?

思わず警戒オーラを発し、様子を観ながら、自宅に近づいていた。理子が応対し、笑顔で話し込む様子を観て、警戒を緩め、挨拶をしようとした時、美玖の声が耳に飛び込んで来て、素早く対応した。

「そうやったんや・・・」

くまはちから状況を聞いて、真子は納得した。

「もしかしたら、私のオーラに反応したのかも
 しれませんね」
「そうなのかな・・・」
「能力が戻ったことは、須藤さんと兄貴しか知りません」
「無茶する人には知って欲しくないけど、いずれはばれるよね」
「その者達への対応は経験ありますから大丈夫ですが、
 過ごせますか?」

子供達は、心の声までコントロールは出来ない・・・と、くまはちは言いたかった。

「大丈夫。二人とも、理子と私のことしか考えてない」

そう応えた真子の表情は、綻んでいた。

「まだ幼いことも関係しているのでしょう」
「だから、家では、気を張らなくていいんだけど・・・」
「問題は、あいつらですよね・・・」
「うん・・・今回の事で、どう動こうとしてるのかが解るだけに
 疲れそうやわ」

真子は項垂れた。

「なるべく、仕事を減らしますので、組長は自宅で・・・」
「くまはちも、暫くは自宅療養やで」
「大丈夫です」
「あかん。今回は酷かったやろ? それに、立て続けやから
 かなり負担掛かってるやろ?」

真子は解っていた。くまはちは、自分自身のことを言われるとムキになる。行動を抑え込む内容なら、なおさらだった。だからこそ、真子は五代目の威厳を出し、くまはちの目を見つめ、

「私から、離れるな。命令だ」

力強く命令した。
それに逆らうことは出来ないくまはちは、深々と頭を下げ、

「御意」

そういうしか無かった。しかし・・・、

「組長も、私から離れないでください。お願いします」

と付け加えた。

「ったく・・・」

呆れたような嬉しいような表情で、真子は呟いた。



「もう、大丈夫やな・・・。良かったね、美玖ちゃん、光一」
「うん。パパにはナイショね。しっとする」
「美玖ちゃん・・・それは、まさか・・・」
「えいぞーしゃんが、いってたぁ!!」
「あははは」

そういや、先生が嘆いてたっけ・・・。

ぺんこうが、幼い二人を預けたくない人物を一人だけ挙げていたことを思い出した理子。

あいつは、幼い頃の真子に、色んな事吹き込んでたからなぁ。
それも、幼い時期には早すぎる色恋沙汰をなぁ。


真子が笑顔で手を振っていた。
美玖も光一も、そして、理子も手を振り返す。
穏やかな時間が流れていった。



(2014.7.1 第一章 驚き 第三話 改訂版2014.12.29 UP)



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