〜その1〜 きみたちは、6つ子でうまれた。シャム系、クロ系、ミケ系の3種類。 その中から、1匹もらうと約束していたので、その日は、逢いに行った。 きみたちは、この世に来て、まだ、1ヶ月ちょっと。 こたつの中から、ぞろぞろと出て来た。そして、私のひざのうえに、次々と乗った。 私のひざに、きみたち全員が乗ることができた。 その中で、シャム系の男の子をもらうことになっていた。 その子の顔は、ちょっと、特長があった。 きみは、シャム系の女の子。 ひげをストーブで、焼いて、短くなっていた。 きみは、眠たかったのか、私のひざの上で、眠ってしまった。 私は、帰ろうとしたが、きみが、あまりにもすやすや寝ているので、 なかなか帰れなかった。 「きみは、私の家に来ないんだよ」 そう言って、私は、その場を去った。 そして、数日後……。 私の家に来たのは、 きみだった。 私のひざが、そんなに居心地がよかったのか、 きみから、私の家に来たかったのか、わからないけど、 きみが、私の家にやってきた。 片方のひげとまつげが、短い、きみが。 私が、中学三年生になる2日前。3月31日。 きみは、その日から『タケちゃん』とよばれるようになった。 タケちゃんが、私の家に来た日の夜、ひとりで、寝れるのか心配だった。 でも、きみは、茶色の小さな毛布と、小さなかごの中で、すやすやと寝ていた。 朝。 タケちゃんの顔を見て、安心した。 「おはよう」 声を掛けると、ゆっくりとかごから出てくるタケちゃん。 でも、その日、私は、友達と遊びに行った。 タケちゃんのことが、気になりながら。 初めて飼う、ねこ。 なかよくやって、いけるかなぁ、と少し不安になりながら。 「ただいま」 タケちゃんは、かごの中。 まだ、お帰りとは言ってもらえなかったけど、 かわいいその寝顔は、不安を取り除いてくれた。 タケちゃん用のかごを用意していたのに、タケちゃんは、 その日の夜から、私のベッドで、一緒に寝ることになった。 2015.2.22 改訂版UP どちゃん!著 |