〜その14〜 ここは、家の中。なのに、 ごん箱(ゴミ箱)までの距離は、3メートル。 おねぇちゃん、紙をくしゃくしゃっ! えいっ! ゴミは、大きく弧を描いてごん箱まで。 ストン! おねぇちゃん、ナイスシュート! バスケのゴールもこんな風に入ればいいな。 おねぇちゃん、再び紙をくちゃくちゃっ! ほいっ! おねぇちゃんの投げたゴミは、ごん箱へむかって 勢いよく飛んでいた。が、 ぱしっ! 「おぉ〜!!!!」 タケちゃん、そのゴミを見事にキャッチ! ダダダっ! パシッ! チャッチャッチャ! ドタドタドタっ! パッパッパ! チャッチャ! なんとタケちゃん、そのゴミで遊び始めた。 おねぇちゃん、おもしろいから、ずっと観ている。 おねぇちゃん、紙をくちゃくちゃくちゃ! わざと大きな音を立てて紙を丸めてみた。 タケちゃん、遊びをやめて、音の方を観る。 おねぇちゃん、投げた。 タケちゃん、それを追いかけていく。 しかし、それは、ごん箱へ。 ごん箱の中を覗くタケちゃん。ちょっぴりさみしそう。 そんな風に、ごん箱へ、ゴミを投げる癖があるおねぇちゃん。 行儀が悪い。 そのゴミを追いかけるタケちゃん。 すごく楽しそう。 それは、いつからなのか、わからない。 ごん箱に入り損ねたゴミをくわえて、タケちゃんが持ってくる。 『もう一回、投げてっ!』 そう訴えてくる眼差しに、おねぇちゃん、 負けた……。 入り損ねたら、それは、何度も繰り返された。 だけど、見事に入ると、ごん箱の前から寂しそうな目で おねぇちゃんに振り返る。 ごん箱までの距離は、50センチ。 おねぇちゃん、紙をくしゃくしゃくしゃっ! タケちゃん、耳をピンッと立て、爛々と輝く目でこっちを見る。 しかし、おねぇちゃんは、ゴミを投げずにごん箱へ。 タケちゃん、なんだぁ〜。という感じで再び眠りに入る。 どうやら、ネコは、紙がくちゃくちゃという音に敏感らしい。 そりゃそうだ。かなり大きな音だもんなぁ。 ネコの耳には、『耳障り』だよなぁ。 あの遊びは、『怒り』の現れ……? 2016.2.22 改訂版UP どちゃん!著 |