〜その8〜 「んーー…」 おねぇちゃんは、何か胸に圧迫を感じて目を覚ました。 目に飛び込んできたのは、三角のピンクの鼻。つり上がった目。 ピンと横にのびた、ひげ、ひげ、ひげ。 「タケちゃん……、重たい」 何か言いたげに鼻を近づけてくる。 鼻息が口元にかかる。 少し魚くさい。 「ご飯食べたばっかりやな?」 おねぇちゃんが息をするたび、タケちゃんが上下に動く。 それが心地よいのか、タケちゃんは眠り始めた。 おねぇちゃんも再び眠った。 おいおい、おねぇちゃん、いくら休みだからって、 いつまでも寝てるんじゃない! 起きなさい! 寝相の悪かったおねぇちゃん。 タケちゃんが上に乗って寝るようになってから、 寝相が良くなった。 タケちゃん、ありがとう。 これで、ベッドから、落ちることなくなった。 壁で頭を打つこともなくなった。 逆さまに寝ることもなくなった。 だけど、タケちゃん、おねぇちゃんだって、早起きするんだよ。 おねぇちゃんが起きるからって、文句を言わないでほしいな。 おねぇちゃんの胸をまくらに 気持ちよさそうに寝ているタケちゃん。 ぐっと背伸びをしたときに、おねぇちゃんのあごを その気持ちいい肉球で押したね。 おねぇちゃんは、ぷにっとした肉球は気持ちよかったんだけど、 だけど、タケちゃんは、焦っていたね。 「あっ」 という顔をしていたけど、何事もなかったように 再び眠っていたね。 そこが、タケちゃん、だね。うん。 2015.5.16 改訂版UP どちゃん!著 |